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2020-06-26 00:00
日本の国内線セキュリティー管理の杜撰さ
北原 二郎
会社員
先日久しぶりに羽田空港から福岡への国内線に搭乗する機会があった。プリントアウトした予約確認書をチェックインカウンターで見せるのみで搭乗券が発券され、その後の安全検査場もスムーズに抜け、搭乗ゲートまで到着した。搭乗ゲート近くの売店で購入したスナックを口に運びながら、身分証の提示を一度も求められることなかったことを振り返り、いまだに、対テロ対策の面で極めて杜撰な日本の安全検査体制に愕然とした(なお、今回は、国際線乗り継ぎはしていない)。パスポート・チェックがもれなく実施される国際線とは、対照的に、国内線では、顔写真入りの本人確認書類の提示が求められていないため、身分を偽っての搭乗が容易なのである。
私は、中国の国内線や新幹線を利用することも多いが、国土も広く人口の多い中国では、国内線はもちろんのこと新幹線(高速鉄道)に乗る際にも身分証の提示が義務づけられている。昨今、コロナ対策の中でGPS機能を生かして追跡アプリが注目されているが、こうしたアプリの導入以前から、中国ではこうした身分証明書の提示は当然とこととされていた。一方で、「対テロ対策強化中」の標示が駅や空港など見られ、警備員や警官が配置されているにも関わらず、日本では身分証確認が一般的でないままである。テロリストは海外から入って来る、ないしは日本人ではないという奇妙な思い込みや「性善説」がはびこっているように思えてならない。1999年の全日空機ハイジャック事件の犯人が、某有名大学出身者、そして偽名を使って予約していたことなどを改めて想起し、身分証確認などの実効性のある対策を強化すべきではないか。
政府の「10万円支給」の経済対策の中で、「マイナンバーカード」申請者も増加しており、本人確認のための身分証明書の提示への抵抗も低くなるのではないだろうか。コロナウイルスが猖獗を極める中で、オリンピックは2020年から2021年に延期された。ここで生じた一年の猶予を利用して、対テロ対策の観点からも日本国内線の杜撰な検査体制を見直して頂きたいと、緑豊かな日本の山河を眼下に眺めながら思った次第である。
余談となるが、日本の国内線については、コロナ対策でのサーモグラフィー設置でも遅きに失した。羽田空港への設置は2020年4月17日、関空・中部国内空港・福岡空港の国内線に至っては5月1日である。コロナウイルス第1号の患者は1月16日に報告されているので、サーモグラフィ設置まで3か月以上を要したということだ。空港を管轄するのは国土交通省、コロナ対策は厚生労働省、予算作成は財務省であることから、縦割り行政の弊害が露呈したのだ。中国では1月末から2月上旬には空港・新幹線は無論、上海など主要地下鉄の各駅でも体温検査が可能となった。中国の好例を真摯に分析し、自国の施策を反省することは、日本の空港の安全検査体制の見直しを進める上でも必要だろう。
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