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2020-07-07 00:00
(連載2)感染症ウイルスとの「戦い」とは?
武田 悠基
日本国際フォーラム研究員
今回の新型コロナ禍は――たいていの危機がそうであるように――結果的に、様々な面で現人類への「耐久試験(ストレス・テスト)」となっている。各国はこのグローバル化時代において、人の移動を制限するために自由な経済活動を低減せざるを得ない状況となったが、完全に停止することは望まれないことを念頭に、必要な場合にどの程度、どのような手段によって低減させられるか、を試みる機会となっている。それに伴い、ある研究(注)によれば、環境状態において1990年代の計測開始以来、最大の二酸化窒素の減少が記録されたという。
(注)COVID-19 lockdowns significantly impacting global air quality
https://news.agu.org/press-release/covid-19-lockdowns-significantly-impacting-global-air-quality/
これらの経験から、もし人類が、また何らかの理由により経済を減速させなくてはならなくなった場合、または環境保護のために大気状態を改善しなければならない喫緊の状態に直面した場合、どういった方策が執れて、その後いかなる対応をするべきか、少なくとも現在各国の対応から、知見と課題が浮き彫りとなるであろう。各分野の専門家によっては、そうした知見や課題、対応は何も目新しいものではないかもしれないが、必ずしも各国が一分野――特に確実に損失を被る人々が存在する分野――の問題に、多くのリソース(国民的支持や知的・経済的貢献)を割くことが容易でないことは、民主制およびグローバル化した国際社会の課題でもある。
また、そのような機会は上述研究の専門家が言うように「意図しない実験」によって初めて証明されたのであった。つまり冷戦終焉以降、人類は一度ならず、人々の選択によって既知の課題を解決できる機会があったはずであるが、その自明の理に対処できてこなかったことこそ根本的問題意識としての「不都合な真実」であろう。ただし、その逆も然り、人々の選択によって解決、改善した課題もあることは言うまでもない。
それを踏まえても、一部の国や国際機関の情報共有や対応が、報道されている通り何らかの意図または瑕疵によって遅れていたのであれば、そうした事態が起こりうるものとして、各国は備えるしかないのであるが、その結果齎される脅威こそ「人類共通の敵」である。人の移動が活発化した現代グローバル化世界において、特に日本をはじめとする各国は自国内の国民のみならず、海外在留邦人の保護においても、戦後最大の帰国オペレーションを組んで対応した。各国での自主隔離や自粛も無限にできるものではないのであり、自国中心主義に傾く国もある中、今日こそ「不朽の自由」の理念に照らして、自由主義世界における国民の保護について、考えていく必要があろう。(おわり)
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