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2007-08-27 00:00
サマータイム
大藏雄之助
評論家
わが国にもサマータイムを導入しようという動きがある。政府の骨太方針とやらで、「早期実施を検討する」ことになっているという。日本経団連も乗り気だとか。
この夏時間制度は、第1次世界大戦の時期にドイツとイギリスが採用し、アメリカもこれに続いたが、全般的に不評で、平和回復とともに廃止された。その後、第2次大戦中にアメリカが「日照節約時」の名称で取り入れてから、北アメリカと西ヨーロッパ諸国に普及した。イギリスでは戦時中に、夏の盛りは「ダブル・サマータイム」といって、2時間も時計の針をずらしたそうである。
これらの国々は大部分が日本よりもずっと北に位置するので夏は午前4時ごろに夜が明けて、午後9時過ぎまで日が照っている。そこで、早寝早起きをすれば電力の消費も減らせるというのが発想の原点だった。しかし、お日様の出ている間に眠るのは難しく、私がイギリスに駐在していた3年間は、勤めが終わってからゴルフを1ラウンドして、1杯やって家に帰るサラリーマンが多かった。結局夏はみんな寝不足だった。
ほとんどのアジア諸国は夏と冬の昼夜の差が大してないから、サマータイムの必要はない。日本でも占領軍の命令で3年間やらされたものの、さんざんな評判で独立回復と同時に取りやめ、韓国もソウル・オリンピックで実験しただけで終わった。
推進派が主張しているような省エネとレジャー経済効果の一石二鳥が実現できるかどうかは怪しい。それよりもコンピューターの時刻調整や交通システムの変更などにかかる費用の方が大きい。アメリカやカナダでは、インターネットにつながっているコンピューターはサマータイムを認識するし、時間帯の違うところに行くと、携帯電話の時間が自動調整される。夏時間を実施するぐらいなら、ロシアのように1年中1時間早める方が気が利いているのではないだろうか。
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