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2020-07-18 00:00
米国はいま価値観の変捻のまっただ中にある
村上 忠司
会社員
アメリカの大統領選挙は、その時々のアメリカ選挙民の価値観を明確化する役割を負ってきた。そもそもアメリカが大英帝国から独立するに際しては、イギリス側が植民地の民意を問わず、民意の在り処を見極められなかったことから、大規模な紛争を経て建国が達成されたという経緯があった。そのことからも、民意の先取りによって国政の民意からの乖離を防ぐことが最善の制度だということがアメリカ社会の強固な前提になっている。
こうした観点からみてこそ、初めて、アメリカ市民の自衛武装への強い拘りや、選挙権の主体は誰なのかという、かつては公民権運動、そして現在はやがて市民権の主体となるであろう多種多様な移民への線引きの問題に繋がっていることがわかる。つまりアメリカ市民にとって、心情においても実際においても自衛し独立している状態こそが人としてあるべき姿というのが大前提であり、どこまでをそうした意思決定の主体足り得るカテゴリーに入れるのか、これがアメリカ社会の第二の前提となる。
時代時代の価値観に応じて変えていくべき課題が、これらの本質的な前提に近づけば近づくほど議論は大きくなる。そうした節目が、独立戦争前後のアメリカ社会であり、南北戦争前後のアメリカ社会であり、公民権運動前後のアメリカ社会であった。従って、大統領選挙戦が平穏なときというのは、アメリカの進歩が足踏みしている状態であり、逆に多種多様な問題点が叩き台に上がって総ての市民を巻き込んだ論争が燎原の火のごとくに巻き起こる状態こそは、アメリカ社会が次の時代に向けて動き出している証左と見ることができる。
したがって、今現在のアメリカを崩壊前のソ連と重ねることは、暴論以前の見当違いになろうかと思われる。ソ連にはものを言わない人民しかおらず、その崩壊から新しいスキームに至るまでの過程において、今現在のアメリカ社会のような沸騰した議論は全くといって良いほど起こらなかった。いま、アメリカは自己の価値観の本質に迫る議論の真っ只中に在り、いわば価値観の変捻の中にある。そして、アメリカ社会が、こうした変捻を経るたびに、どんな形であれ世界的な影響を及ぼすさまざまな事柄の発信源となったことも、また、確かなことではなかったろうか。
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