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2020-07-23 00:00
(連載2)コロナウイルスの陰で動くイラン情勢
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
これがただの偶発的な事故であればよいのだが、イランはそうは見ていない。イラン国内での科学者暗殺や破壊工作を繰り返してきたイスラエルの情報機関モサドの秘密作戦である可能性が浮上しているのだ。もともと、モサドと米中央情報局(CIA)はイランの核武装阻止のためにサイバー攻撃などさまざまな作戦を展開してきたからだ。「アベノマスク」だ「Go To キャンペーン」だなどといってコロナ対策で日本が内向きの大騒ぎをしていたころ、産油国の一つではこのような状況が生まれていたのである。
では、今後どうなるであろうか。イランは当然にして「モサドとCIAによるハッキングによる破壊工作である」と主張している。しかし、イラン当局は他国を犯人扱いしたもののその明確な証拠は示していない。また、単なる噂によって戦争を行うこともできないし、イランはしたくもないだろう。それは、ソレイマニ司令官が殺されても戦争をしなかったことからも明らかで、施設破壊程度ではイランには対米戦争を本当にやる用意も勢いもないのだ。
しかし、破壊されたのは最高指導者ハメネイ師の肝いりで作られた重要施設であり、当然に、何らかの形でケリをつけなければならない。今後のイランが切りうるカードとしては、レバノンのヒズボラなどを使ってイスラエルへテロを仕掛けること、または、イラク内のカダイブヒズボラを使ってのアメリカ軍基地への攻撃などが考えられ、何も起きずに終わることは考えづらい。目に見えた破壊行為以外にも、何らかの陰謀工作が行われることは容易に想像がつくものである。そして、イランにジャブを入れたアメリカやイスラエルはイランの仕返しへ対応によっては、中東でも大きな喧嘩を始めることになる。
日本にとっては、万が一イランで深刻な情勢の悪化が生じれば、石油を始めとした物資の調達が困難になるだけではない。日本は歴史的経緯、そして安倍政権の「仲介外交」方針によりイランに比較的寛容な態度を示してきたが、アメリカとイラン双方から、日本の外交姿勢を厳しく質されるだろう。また、地理的に遠いことから日本はこの地域を楽観視しがちだが、イランはロシアや中国との関連性があり、日本にどのような影響が出るか見極めなければならない。新型コロナウイルスばかりに目が行くのは日々の生活がある市民として仕方がないが、日本国民として国際情勢から関心を失ってはいけないのである。(おわり)
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