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2020-08-26 00:00
(連載1)中国の体制変革に踏み込んだポンぺオ米国務長官演説
笹島 雅彦
跡見学園女子大学教授
米大統領選挙を直前に控え、トランプ政権内で、マイク・ポンぺオ国務長官を中心とするグループが中国共産党のイデオロギー面に踏み込み、体制変革を目指す強烈な対中批判を繰り返している。しかし、どうすれば中国共産党の一党支配を打倒できるのか、現実的な計画は何ら示されておらず、かえって不測の事態を招き、米中による「熱戦」が起きる危険性すら浮上している。
ポンぺオ氏は7月23日、米国カリフォルニア州のニクソン大統領図書館・博物館で演説し、中国共産党体制がマルクス=レーニン主義体制であることを肝に銘じたうえで、習近平・党総書記(国家主席)を名指しし、「破綻した全体主義イデオロギーの信奉者だ」と断言、「中国の共産主義に基づく世界覇権への野望を長年、抱き続けている」と非難した。
この演説は、中国のイデオロギー問題を取り上げたロバート・オブライエン国家安全保障担当大統領補佐官(6月24日)、中国による知的財産権の侵害を訴えたクリストファー・レイ連邦捜査局(FBI)長官(7月7日)、米中経済をテーマとしたウイリアム・バー司法長官(7月17日)とともに連続講演を行い、総括役のポンぺオ氏が強い調子で対決姿勢を提示したものだ。ポンぺオ氏ら4人は、あえて「中国共産党」を批判の対象に絞り、中国の民衆とは区分して体制変革を促している。ポンペオ氏は8月12日、チェコ上院で演説し、旧ソ連を引き合いに出しながら、米中対立が「冷戦2.0」ではなく、「中国共産党の脅威に対応するのはより困難である」との認識を示した。まるで、アイゼンハワー政権のジョン・フォスター・ダレス国務長官による対ソ「巻き返し政策」の表明のようである。これでは、習近平指導部は、強く反発し、身を固くして持久戦に備えようとするだろう。
中国の憲法(2018年改正)前文には、中国共産党が各民族人民を指導し、マルクス=レーニン主義、毛沢東思想などによって導かれることがうたわれている。今更、ポンぺオ氏が中国共産党の一党独裁体制やイデオロギーを糾弾しても何も始まらないのではないか。もちろん、こうした発言が出てくる背景には、習近平指導部の「戦狼外交」とやゆされる好戦的外交姿勢や、東シナ海・南シナ海における声高な海洋主権主張、香港における民主化運動弾圧、少数民族への人権弾圧、台湾への露骨な軍事圧力、中印国境紛争の再燃――など対外強硬策が原因となっているものだ。米中対立激化の主因は中国側にある。(つづく)
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