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2020-08-31 00:00
安倍総理の辞意表明によせて
荒木 和博
特定失踪者問題調査会代表
平成30年(2018)5月9日、ワシントンのアンドルーズ空軍基地に到着した特別機にトランプ米大統領が乗り込みました。搭乗していたのはその2年前に北朝鮮でスパイとして逮捕、抑留され、解放されたドンチョル・キム氏らでした。大統領はキム氏に「あなたは米国の英雄だ」「海外にいる国民の保護より優先順位が高いことはない」と言ったそうです。
今日の安倍総理の辞意表明で、これまで何度も繰り返されてきた「拉致問題は安倍政権の最重要課題」という言葉を思い出し、トランプ大統領の言葉と比べてため息が漏れました。もちろんその言葉がパフォーマンスであることは明らかですし、米国もこれまで様々な形で国民を見捨ててきました。ですから額面通りに受け取ることはできませんが、それでも自国民を取り返してきた上でパフォーマンスをするのと、パフォーマンスだけで終わってしまったことの落差は感じざるをえません。
ただ、私たちにいつまでもため息をついていることは許されません。この変化をプラスに持って行くしかありません。7年前、拉致問題に積極的な安倍政権が発足したことで、その周りや我々国民の拉致問題に対する取り組みは、安倍総理に任せておこうということで、思いの外遠慮がちとなり萎縮してしまったように思います。安倍政権の取り組みは、しかし、結局のところ何も進まなかったじゃないか、という見方もできる結果に終わりました。私は、我々国民の声がもっと強く安倍政権を押していれば、違うことになっていたのではないかと反省するわけです。その意味ではもはや「安倍政権なのだから拉致問題は任せておこう」というわけにはいかないのです。そして、「次に誰が指導者になれば進むだろう」ということでもないのです。ですから、もう一度国民が先頭に立って、誰が総理になろうが拉致問題を前に進めざるを得ないような状況を作ることです。
もともと、他のことはともかく拉致問題に関しては野党も政権の足を引っ張ることはほとんどありませんでした。おそらく次の総理が誰になっても同様でしょう。積極的に妨げる要因は国政にはなく、事態を動かし得る素地はあるのですから、国民が声をあげれば動かせるはずです。なぜならば、人間には「希望を持つ」権利があるからです。どうせダメだろうなどと言って後になって悔いることがないようにしたい。拉致された被害者の方々を救い出せるよう、希望を持って取り組んでいくことです。私たちもその突破口をつくるためにがんばります。
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