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2020-09-04 00:00
(連載2)チェコ代表団の台湾訪問が意味すること
山田 禎介
国際問題ジャーナリスト
大西洋をはさむ米国と欧州間でも、東欧チェコはさらに欧州内陸で遠く、疎遠に見えそうだが、歴史的には石炭鉱山地帯のチェコ・ボヘミアから多くの技術系移民が大西洋を渡り、アパラチア山脈を中心に米国石炭産業界の基礎を築いた。トランプ大統領のチェコ出身の元妻イバナさん、その娘でもあるイバンカ大統領補佐官の存在が、夫のクシュナー大統領上級顧問の、画期的なイスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)との国交樹立までの舞台裏活動と競うことをトランプ大統領は望んだのでは、と思われる。この台湾を使った「米・チェコの水面下での連携」という深読みの裏には、過去に同様の米国、欧州連携の政治的策動の例があるからだ。
米カーター政権(1977〜81)におけるポーランド生まれのズビグニュー・ブレジンスキー大統領補佐官は、その後89年にソ連崩壊を予言する The Grand Failure: the Birth and Death of Communism in the Twentieth Century 邦題「大いなる失敗——20世紀における共産主義の誕生と終焉」を出している。その予言通り、旧ソ連は1991年12月25日に崩壊した。ブレジンスキー補佐官は大いに注目されたが、ブレジンスキー補佐官にはグローバルともいえる裏の行動があった。ポーランド人のローマ教皇ヨハネパウロ2世(在位1978年 - 2005年)の選出の裏には米国が存在したことが知られ、このヨハネパウロ2世の出現が、ソ連崩壊に大きくかかわったことが、いまでは明白になっているが、ポーランドの自主管理労組「連帯」を積極的に支持し、ヨハネパウロ2世と水面下でのコンタクトを行ったのが、このブレジンスキー補佐官だった。
現代のチェコと台湾の問題に戻るが、チェコのミロシュ・ゼマン大統領はこれまで中国の「一帯一路」政策に協力、対中関係の親密化を目指してきたが、一帯一路プランはチェコへの投資が予定通り進んでおらず、チェコでは中国への幻滅も広がってきた。この空気のなか首都プラハのフジブ市長は、昨年10月に、チェコ政府に「チベットと台湾の独立に反対する」ことを強いる合意には署名できないとして、この姉妹都市関係を解消している。
フランス通信(AFP)によれば、ビストルチェル上院議長は台湾訪問について、「旧ソ連の強権体制の影響下にあった旧チェコ共産政権を打倒した1989年の「ビロード革命」の指導者、故バーツラフ・ハベル大統領の遺志を継ぐ旅になる」と述べたが、水面下の政治背景は単にそれだけではあるまい。その前のアザー米厚生長官の台湾訪問とリンクする何かがあるはずだ。(おわり)
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