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2020-09-09 00:00
(連載1)ロシア改憲「領土割譲禁止条項」をめぐる袴田茂樹氏の見解に思う
加藤 成一
元弁護士
ロシアでは7月4日「領土割譲禁止条項」を明記した改正憲法が公布された。それに伴い、領土の割譲に向けた行為を違法とし、最大10年の禁固刑が科されることになった。これは北方領土の返還を悲願とする日本にとって衝撃である。
ロシアが今回、憲法に領土の割譲禁止を掲げた理由は、ロシアが併合したクリミア半島の返還を求めるウクライナや欧州に対抗する姿勢を示し、プーチン政権の求心力を高める狙いがあったためと考えられる。ただし、改正憲法の領土割譲禁止条項には、「領土割譲」ではなく「国境線画定」は例外とされており、領土交渉の余地を残している。ロシアは軍事衝突した中ロ国境紛争で2004年「国境線画定」により譲歩し解決した事例がある。しかし、プーチン氏の側近であるボロジン下院議長や、外務省サハロフ報道官は、日本との北方領土問題は改正憲法の「領土割譲禁止条項」に該当し、その「例外」ではないと明確に述べている。
今回の領土割譲を禁止した改正憲法について、ロシア問題の権威であられる袴田茂樹日本国際フォーラム評議員は、9月1・2日付「百花斉放」掲載の「新憲法の領土割譲禁止条項に北方領土は該当するか」において、プーチン大統領はもともと北方領土を日本に返還する意思がないのに、いわば「疑似餌」として、日本から北方領土における経済協力等の実利を得るため、返還の意思があるかのように装って日本との「領土交渉」を続けてきたとの趣旨を述べられ、北方領土問題は改正憲法の「領土割譲禁止条項」に該当する可能性が大きい旨主張しておられる。
筆者も、袴田氏が主張される、「領土交渉」における所謂「疑似餌」の側面があったことを全面的に否定はしない。しかし、安倍首相とプーチン大統領との前後27回にも及ぶ「領土交渉」のすべてが、ロシア側に領土返還の意思が全くない「疑似餌」のみであったと、筆者は考えない。(つづく)
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