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2020-10-01 00:00
(連載2)香港国家安全維持法施行後の香港の動向予測
山崎 正晴
危機管理コンサルタント
7月11日、トランプ米大統領は「香港市民の人権擁護のため」として、「香港自治法」を成立させるとともに、香港に対する貿易などの優遇措置を廃止する大統領令にも署名した。これにより、「香港は関税などの面で中国本土と同じ扱い」となり、人権弾圧に関与したと「米国政府が認定した人物」と取引した「銀行」は米国との取引を制限されることになった。
その結果、香港や中国でビジネスを行うグローバル・カンパニーは米国と中国との板挟みで苦悩し、それらの企業に勤める社員たちはリストラの恐怖におびえている。米国務省は9月14日、香港への渡航リスクをそれまでの「厳重注意」から「中止勧告」にレベルアップした。
一方で、悪影響が懸念された香港金融市場は活況を呈している。8月19日に香港取引所が発表した2020年1―6月期決算は、純利益が52億香港㌦と前年同期比0・5%増加。中国本土との株式や債券の相互取引は大幅に伸び、純利益と総収入はいずれも半期として過去最高を更新した。1―6月期のIPO(新規株式公開)は64件で、調達額は928億香港㌦に上った。米中対立激化の中、香港が米国市場を避ける中国企業の受け皿になった形だ。
香港人は、他国人にはない特殊な才能を持っている。それは独裁的支配の下で限定的な「自由」の「隙間」を見つけ、それを最大限駆使して「莫大な経済的利益」を得るという才能だ。香港最大の企業集団・長江実業グループ創設者兼会長である李嘉誠は12歳の時に日中戦争の戦火を逃れ、故郷の潮州から英国支配下の香港に渡った難民だった。その少年が英国と中国の支配下で企業家精神を発揮し、今では世界屈指の資産家となっている。香港人を見ていると、彼らの多くが同じDNAを共有しているように見える。バイタリティーと企業家精神を持った香港人の目に、今回の「変化」は、さらなる飛躍へのまたとないチャンスに見えているに違いない。香港のこれからの政治的変化と香港人によるそれへの対応プロセスを、大いなる期待感を持って見守りたい。そこから、われわれ日本人は多くのことを学べるだろう。(おわり)
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