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2020-10-14 00:00
北朝鮮の後ろに人民解放軍の影
荒木 和博
拓殖大学海外事情研究所教授
以下は全くの仮定です。北朝鮮が先日の真夜中に行った軍事パレードについて、ひょっとしたらバックに中国(人民解放軍)がいるのではないかと、ふと思いました。現在平壌の奥の方では党、というか金正恩周辺の米国派と人民軍などの中国派が競っている状況のように思います。そんな中で午前零時から始めた今回の派手なパレード、そして卑屈とも思える「金正恩」のスピーチ内容など、不思議なことばかりです。
パレードの準備検閲をした李炳鉄・中央軍事委員会副委員長は先月クーデターを行ったとか情報が流れた人物でもあります。また、経済がさらに破綻への一途を辿り、コロナ禍に水害と、1990年代後半の「苦難の行軍」の再来かと言われている北朝鮮で、いくら独裁だと言っても、このようなパレードを行うのは無理がありすぎます(このために動員される様々な資源や人々の負担だけでも想像を絶するものであるはずです)。一方でスピーチではやたらに人民をいたわっており、これでは「君たち勉強は無理しなくて良いよ」と言いながら山ほど宿題を出す先生みたいです。もっともあの場に金正恩がいなかったとすれば理屈は通りますが。
私は「パレードで部隊が移動すれば、それをきっかけにクーデターが起きる可能性があるのではないか。だから現体制の中央は軍隊を動かさないのではないか」と思っていました。それを逆にこのような派手なデモンストレーションをやったというのは、ある意味、既に軍が実権を掌握しているということなのかもしれません。そしてそれを中国がバックアップしているとすれば、米国に対するプレゼンスの誇示にもなるでしょう。逆に中国の支援なしにあれだけのパレードができたのかと。
今回のパレードは出てきた兵器ばかりが注目されている感じもしましたが、見えない部分こそ大事なように思った次第です。ついでに気がついたことをいくつか書いておきます。前に述べた仮説も含め、後で間違いと分かることもあるかも知れませんが。1、金与正はほとんど存在感がなかった。画面に映ってはいたが少なくとも中央近くではなかった。名前も呼ばれなかった。2、金正恩の妻李雪主は姿が見えなかった。代わりに最近出番の多い玄松月(ヒョン・ソンウォル)が後ろについていた。3、李炳鉄(リ・ビョンチョル)は自衛隊の軽装甲機動車そっくりの車両でパレード前の部隊を準備検閲して回っているが、止まったところごとに全く同じやりとりをしている。李炳鉄「同志たち、こんにちは!」部隊全員「あなたの健康を願う!」李炳鉄「10月の名節を祝います!」部隊全員「万歳!」。他のときどうしていたかよく分からないのと、韓国と北朝鮮では同じ言葉でも敬語の使い方は微妙にニュアンスが異なる場合もあるので何とも言えないが、それにしてもなぜ李炳鉄の健康を願うのか不思議である。そもそも準備検閲などする必要がないように思うのだが。
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