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2020-10-26 00:00
菅初外交、対米追随で大丈夫か
伊藤 洋
山梨大学名誉教授
アメリカの大統領選挙は最早秒読み段階に入ってきたが、ホームストレッチでの双方が発する悪罵は、目を覆いたくなるほどのひどさである。トランプ氏は米FOXニュースの電話インタビューに応えて、「あなたたちの大統領には免疫がある。だから今、あなたたちの大統領はその対立候補のように地下室に隠れる必要がない」と述べ、新型ウイルスの流行下でトランプ氏に比べてかなり慎重に選挙運動を行ってきた民主党のバイデン氏を攻撃した。(中略)トランプ氏が新型ウイルスの検査で陽性反応が出た10月1日以降、バイデン陣営はバイデン氏の新型ウイルスの検査結果を毎日公開してきた。バイデン氏に比べトランプ氏の健康状態をめぐる情報は少なく、トランプ氏の医療チームは、同氏が新型ウイルスの検査で陽性を示す前、いつまで検査で陰性を示していたのかについて繰り返し回答を避けてきた。これにより、同氏は感染が判明する前の数日間、新型ウイルスの検査を受けていなかった疑いが浮上している」(2020/10/12 AFPBB News)
筆者が受験生だった当時の参考書トップ出版社である旺文社が「アメリカ合衆国史」を刊行していた。そこには、メイフラワー号に乗った清教徒たちの艱難辛苦、英本国による植民地への過酷な政策、独立への覚悟と戦争、近代政治システムの創造、南北戦争を経て奴隷解放の美談、近代産業の創造が綴られていた。今思えば歴史執筆者の「そうあったら好いのだが」という記述ではあったのだが、無謀な戦争で打ちひしがれた当時の日本の現実との圧倒的な「格差」を前にして、高校生の心は大いに合衆国信仰に心をうばわれたものであった。そのアメリカがここまで堕落し、どうみてもジェントルマンの範疇に入らない人物、聞くに堪えない悪罵を絶間なく吐き出すリーダー、その彼に熱狂する民衆、TV映像を見るにつけ他人事ながら耳をふさぎ、目を覆う昨日今日である。
こういうリーダーを擁する国と、こういうリーダーの要求に宗主国の王の声を聞くかのごとくうやうやしく聞き入る日本政府。いずれが大統領になるかは別として、大統領選挙のドタバタを見せつけられれば見せつけられるほど気が滅入ってくるのは筆者だけではあるまい。かの国に我らの永遠の生を託すほどの信頼が有り得るものだろうかと、悶々たる不安が続く今日この頃である。
そんなトランプ氏の中国封じ込め政策でもある「自由で開かれたインド太平洋」構想を引っさげて「新」米で「親」米の新総理大臣がベトナムとインドネシアを訪問し、同構想を推進した前首相を踏襲することを初外遊で明確に示した。先様には先様のご都合もあろうに。米大統領選挙まであと一週間。ジャと出るか?ヘビと出るか?
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