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2020-11-10 00:00
(連載1)「任命拒否」日本学術会議は行政訴訟で勝てるか
加藤 成一
元弁護士
日本学術会議問題では、菅内閣は「日本学術会議法をはじめ、法令に則り適切に任命権を行使した」と主張し、学術会議会員が特別職国家公務員であることから、憲法15条1項に基づく公務員の任免権や、会員任命における幅広い総合的俯瞰的観点、日本学術会議法等に関する内閣法制局の法解釈などを「任命拒否」の理由に挙げている。
これに対して、日本学術会議側は、「任命拒否」の具体的理由の説明、並びに改めて6名の任命を求め政府側と対立しているが、未来志向による同会議の改革には政府側と合意している。また、日本共産党や立憲民主党などの野党側は、「任命拒否」は日本学術会議法等に違反し違法であると共に、憲法23条に違反する「学問の自由」の侵害であるなどと主張し、菅内閣を激しく批判攻撃している。
このように、菅内閣による今回の一部会員の「任命拒否」については「適法か違法か」が根本的に争われており、政治的解決がない場合は「行政訴訟」により法的に決着をつけるしかない。以下、仮に、日本学術会議側ないし任命を拒否された当事者側から裁判所に「行政訴訟」が提起された場合に、学術会議側に勝算があるのかどうかを法的に検討する。まず、行政処分(「行政行為」)の取り消しを求める「行政訴訟」(「取消訴訟」行政事件訴訟法3条2項)を提起するためには、「原告適格」(同法9条)即ち、仮に、今回の「任命拒否」が行政処分に相当するとすれば、当該行政処分の取り消しを求めるにつき法律上の利益を有する者であることが必要である。
「法律上の利益を有する者とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害される恐れのある者である」(最判昭和53・3・14)。本件につき検討すると、学術会議側ないし任命を拒否された当事者側に「推薦に基づき任命が行われる権利又は利益があるかどうか」が問題となる。この点については、以下に述べる、会員任命における政府側の「裁量権」の有無とも関連し、学術会議側ないし任命を拒否された当事者側において、上記権利又は利益がある旨の主張立証責任がある。立証は必ずしも容易とは言えず、「原告適格」を立証できなければ門前払いで訴えは却下される。(つづく)
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