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2020-11-12 00:00
米大統領選挙制度の特殊性
船田 元
衆議院議員
現地時間で去る11月3日に投票されたアメリカ大統領選挙は、8日にようやく結論が見え、菅義偉首相が本日12日、米大統領選で勝利を確実にした民主党のバイデン候補に祝意を伝えた。バイデン候補が「錆びついた工業地帯(ラストベルト)」と言われるミシガン州、ウィスコンシン州を制すなど、バイデンの勝利は確実だ。
しかしながらトランプ候補がコロナ禍で増えた郵便投票の不正を、裁判に訴える構えを見せているため、最終的な結論はもう少し先になるかもしれない。20年前のブッシュ対ゴアの大統領選挙では、両陣営が訴訟合戦を繰り広げ、ゴア候補が敗北宣言をしたのは選挙から1ヶ月も経っていた。4年前のトランプ対クリントンの選挙でも僅差でトランプ氏が当選したが、なぜこうも頻繁に激戦になるのだろうか?民主党と共和党の勢力が拮抗していることが根底にはあるが、国の内外ともに複雑な問題が多いため双方とも明確な政策や理念を打ち出すことが出来ず、勢い人気投票になってしまうからではないだろうか。
さらには大統領選挙の仕組み自体による限界も考えられる。国民の直接投票による得票率から見れば、明らかにバイデン候補が全米で3%ポイント、票数にして400万票も上回っており、これだけなら決着は早い。しかし、実際は州の人口にほぼ比例して配分された選挙人を、当該州で勝利した候補が総取りする(例外が2州あり)仕組みである。トランプ対クリントンの時は、投票率ではクリントン候補が上回ったものの、選挙人獲得数ではトランプ氏が上回った。僅差の時はこのような「ねじれ」現象が起きることがある。
「アメリカ大統領選挙」という特殊なルールを見直す議論は歓迎されるべきだが、今回は従来のルールにしたがって行われ、まもなく結論が出ようとしている。バイデン、トランプ両陣営はもとより、アメリカ国民が冷静に選挙結果を受け止め、停滞している政治を前に進めることが、アメリカの民主主義にとって、世界の民主主義にとって、極めて重要であることは論を俟たない。
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