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2020-11-14 00:00
五中全会で示された習政権の本質
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
中国共産党第19期中央委員会第5回全体会議(五中全会)が2020年10月26日から29日まで北京で開催された。会議は中央政治局の委託を受けて習近平総書記の行った活動報告を聴取・議論し、「国民経済・社会発展第14次五カ年計画と2035年までの長期目標の策定に関する中共中央の提議」を審議・採択した。
ここで注目すべきは、四中全会で消えていた「一帯一路」が復活していることである。一帯一路に反対していた共産党の人々がコロナウイルス絡みで淘汰され、習近平に近い感覚の人々が主流になっている。つまりは、「江沢民派が弱まった」ため、中央アジア進出と、台湾や香港の支配強化そしてインド洋進出が活発化するということを意味する。四中全会のころとの違いは、今年6月の国家安全法の施行であり、そのことによって香港の民主派をほとんど無力化することができた。この香港に対する政策は、本来であれば「人権」を無視したと諸外国から大きなクレームがあったところであるが、コロナ禍の間に「火事場泥棒」的に行ったということが言える。ということは、長じて来年以降パンデミックが発生した場合、台湾への武力行使なども十分にありうるということになるのである。
2035年までの長期目標も発表している。つまり習近平は2035年までの長期政権を目指しているということを意味する。そのうえでその内容を穿った見方で読めば以下のようになる。①中国の経済力、科学技術力、総合国力は飛躍的に高まり、経済規模と都市・農村部住民の(中略)1人当たり所得は再び新たな大台に達し、主要技術及びコア技術において重要なブレークスルーを実現し、イノベーション型国家の先頭集団入り果たす。(要するに米国や日本へのスパイ活動をより組織的に行い中国人の私腹を肥やす)②新しいタイプの工業化、情報化、都市化、農業の現代化を基本的に実現し、現代化経済システムを完成させる。(共産党の資産を増やして情報や経済・製造の一元化を目指す)③国家ガバナンスのシステムと能力の現代化を基本的に実現し、人民が平等に参加し、平等に発展する権利を十分に保障し、法治国家、法治政府、法治社会を基本的に完成させる。(共産党に都合のよい法律を作り香港のように反対者をすべて処罰する)④文明強国、教育強国、人材強国、スポーツ強国、健康中国を完成させ、国民の素養と社会の文明の水準を新たな高みに押し上げ、国家の文化力とソフトパワーを著しく高める。(中国文化の推進という手段で他国に浸透し外国世論を友好化する)⑤生産・生活のエコスタイルを広範に形成し、炭素排出量のピーク後に着実に減少させ、生態環境を根本的に好転させ、美しい中国の建設という目標を基本的に達成する。(表面的には美しい国を目指し世界の「環境派」「人権派」といわれる左翼を糾合する)⑥対外開放の新構造を形成し、国際経済協力・競争への参加における新たな優位性を著しく強化する。(外国の投資を受け入れ富を国内化する)⑦1人当たりGDPで中等先進国水準に達し、中所得層を著しく拡大し、基本的公共サービスの均等化を実現し、都市部と農村部の発展格差と住民間の生活水準の格差を著しく縮める。(農村部特にチベットやウイグルなどの少数民族の支配を強化する)⑧「平安中国」の建設においてより高い水準に達し、国防と軍隊の現代化を基本的に実現する。(人民解放軍の世界進出を行う)⑨人民の生活をさらに素晴らしいものにし、人の全面的発展、人民全体の共同富裕化において一層明らかな具体的進展を得る。(漢民族の生活を重視することから更なる少数民族や他国民に対する制限を加える)
さてこのようなスローガンは、もちろん共産主義国家のプロパガンダであることは間違いがない。カッコ内で書いているように言い換えれば、本音に近いのではないか。この長期計画の中に、「国際協調」や「少数民族」が書かれていないことがよくわかると思う。日本人は性善説で見てしまうのでそのような見方ができないのであるが、このような意地悪な見方をすることが最も重要である。このコミュニケの分析は今後の中国は大きな問題を示唆している。
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