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2020-11-18 00:00
バイデン氏の勝利で米露関係の好転につながるか
飯島 一孝
ジャーナリスト
米大統領選の開票がほぼ終了し、世界の主要国がバイデン民主党候補の勝利を承認しているが、ロシアのプーチン大統領は依然として「米大統領選の正式結果がまだ出ていない」としてバイデン氏の勝利を認めていない。米露関係はバイデン氏が副大統領だったオバマ政権当時、最悪と言われたが、バイデン新大統領の誕生後も両国の関係は変わらないのだろうか。
ロシア大統領府のペスコフ報道官は11月9日、「大統領選の正式結果が出るまで待つのが妥当だとわれわれは考えている。強調しておきたいのは、プーチン大統領は米国民の選択を尊重するとくり返し述べているということだ」と語った。前回の大統領選でトランプ氏が勝利した時は、プーチン氏は速やかに祝意を表明している。前回との違いについて報道官は「トランプ氏が敗北を認めることを拒否し、不正投票があったとして法的措置を講じる構えを示しているためだ」と説明した。プーチン氏がトランプ氏と違って、バイデン氏に好意を持っていないことは明らかだ。選挙期間中もバイデン氏はロシアを「米国や同盟国の安全保障上、最大の脅威」と発言していたからだ。これに対して、ペスコフ報道官は「ロシアに対する敵として位置づけられているのは遺憾だ」と反発していた。
オバマ政権時代を振り返ると、プーチン政権はシリア内戦やウクライナ危機を巡ってオバマ政権と対立し、米露関係は悪化の一途をたどった。中でも、バイデン氏は上院議員時代に欧州外交を専門にし、旧ソ連の民主化に尽力した経緯がある。副大統領時代にはウクライナを6回も訪問、ロシアの介入を非難した。このためロシアは、バイデン政権になるとロシアに対する強硬姿勢を強め、欧州の同盟国と連携して”ロシア封じ込め政策”を取ることを恐れているのだろう。だが、バーデン氏とプーチン氏の間には、意見が一致する面もある。それは核兵器の軍縮条約についての見解で、二人とも新戦略兵器削減条約(新START)の延長を明言している。この問題で両者が対話のきっかけをつかめば、核軍縮問題だけではなく、米露関係全体が好転する可能性も出てくるだろう。
プーチン氏は大統領に初めて就任してから事実上20年間、指導者として君臨しており、一部エリート層の間に政権不信が広がっているという。プーチン氏は憲法改正で2024年の大統領任期満了後も2期12年、大統領を続けることができるようになったものの、すでに68歳となり、体力の衰えもないとはいえない。このため、早期退陣のシナリオも検討されていると言われ、ここ1、2年が政権継続のヤマ場となろう。バイデン氏の大統領就任で、ロシアを含む国際政治に大きな変動が来るような予感がする。
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