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2020-11-26 00:00
(連載2)中国が「金体制」を最後まで支えるといいきれるか
荒木 和博
拓殖大学海外事情研究所教授
この結果として、北朝鮮は一層国際社会で孤立してしまいました。その後の米国同時多発テロ事件を経て、共和党政権は対北朝鮮政策をどんどん厳しい方向へと変更していってしまいました。そのような流れの中でブッシュ大統領による北朝鮮「悪の枢軸」発言は、金正日の外交政策の行き詰まりを明確にしました。
金正日が対日宥和政策を取り拉致問題でも日本に大きな譲歩してきたのは、いつアメリカから爆弾が平壌に降ってくるやもしれぬというプレッシャーが背景にあって起きたことです。他にも色々複合的な要因があったのですが、金正日が拉致問題を認めるというところまで踏み込んだのには、アメリカが相当に怖かったというのがあったのは事実です。
ここから得るべき教訓というのは、金東哲博士の「日本政府へのメッセージ」でも触れられているように、「北朝鮮には感性で対するべき」という真理です。つまり、強いメッセージを送ることが北朝鮮には有効だということです。冷静に話し合いましょう、などというスタンスではまったく北朝鮮政府には響きません。
対して、中国は、これまで中国の影響力から脱しようとアメリカに積極的にアプローチしてきている北朝鮮の金正日以降の外交姿勢に相当な不信感を抱いています。もともと朝鮮人民軍は中国との結び付きが強いとされますが、先日北朝鮮で行われた真夜中のパレードに中国人民解放軍の影が見え隠れすることも、こういう背景を踏まえるとなにか意味を持って解釈することができるかもしれません。対米志向の強い金一族と人民解放軍にシンパシーの強い朝鮮人民軍の認識に温度差があるとすれば、中国が「金正恩体制」を最後まで支持するといいきれるのか、という点から大きな疑問符がつくのです。長らく固定的に思われてきた中朝関係ですが、現下の国際情勢にあっては、もっと柔軟に解釈する必要があるのではないでしょうか。(おわり)
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