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2020-11-28 00:00
(連載2)トランプ主義が分断をもたらしたのではない
古村 治彦
愛知大学国際問題研究所客員研究員
マレー氏曰く、アメリカは変質した。アメリカは健全な平等主義、自由、個人主義の国であった。人々は経済的に成功してもそれをひけらかすことを嫌った。貧しくても堂々と生きることができた。アメリカに日本のような戦後という時代区分はないが(いつも戦争をしているようなものだから)、第二次世界大戦後にそれが大きく変容した。そして、取り残されたのが、白人の労働者階級の男性たちだ。「アホでマヌケなアメリカ白人」「ニューヨークの場所も知らない」「頑迷にキリスト教原理主義を信じている」と西海岸や東海岸で優雅に暮らすエリートたちに馬鹿にされ、見下され続けてきた。
このエリートたちは、自分たちが素晴らしい人間だと思って欲しくリベラルな考えを振り回す。「弱者の味方」であるはずの民主党支持であることがかっこいいと思っている。しかし、実際には低学歴、低所得の白人労働者階級を徹底的に見下し、馬鹿にする。昔のエリートや成功者たちはできるだけ自分は皆と一緒です、元々は貧しいところから這い上がって来たので一緒ですという態度を取った。
こうしたことがアメリカに分断をもたらした。日本でタレント活動をしているお笑いコンビ「パックンマックン」のパトリック・ハーランはハーバード大学卒業のブランドと巧みな日本語でテレビによく出ている(相方さんはどうしているのだろうか)。ハーランは「7000万人以上もトランプに投票したなんて信じられない」とテレビで発言し、それに対して橋下徹元大阪市長が「そういう考えだからアメリカに分断が生まれるのだ」とツイッター上で批判した。私は橋下元市長の言説をほぼ全く支持しないが、この発言に関しては同感である。
マレー氏の論稿を読むと、アメリカの分断は根深く、トランプ現象、トランプ主義はそこから出てきたことであって、トランプが分断をもたらしたのではないということが分かる。そして、この分断が国家分裂にまで進むのではないかということも合わせて考えさせられる。(おわり)
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