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2007-09-07 00:00
「円安バブル」の崩壊
鈴木淑夫
元衆議院議員・鈴木政経フォーラム代表
3月以来、この「百花斉放」で円安の行き過ぎ(「円安バブル」の発生)について注意を喚起し、BIS(国際決済銀行)の警告を紹介したりしてきたが(本欄3月22日付け投稿281号、5月17日付け投稿318号、7月12日付け投稿353号)、7月末から8月中頃にかけて、遂にこの「円安バブル」が崩壊した。「バブルは壊れてみて始めてバブルであったと気が付く」というのはグリーンスパン(前米国連邦準備制度理事会議長)の言葉だが、これで「現状程度の円安をバブルではないかと言って心配する必要はない」などと呑気なことを言っていた人も、バブルであったと気付いたのではあるまいか。
今回の「円安バブル」の崩壊は、円安を非難する政府高官の発言ではなく、米国のサブプライムローン問題に端を発する信用不安と景気後退の懸念が引き金となって発生した。サブプライムローンは証券化され、世界中の投資家が保有している。このため、その焦げ付きリスクを誰がどの程度負担しているかが分らず、各国の金融システムで信用不安の疑心暗鬼が生まれた。その結果、「flight to quality(質への逃避)」が発生し、世界中で株式から国債への資金シフトが起こり、世界同時株安となった。日本でも、日経平均で1万8千円台から1万6千円割れまで暴落した。
それと同時に、日本の円相場が、米ドル、ユーロ、英ポンド、豪ドル、アジア諸国通貨など全ての通貨に対して、突如急上昇した。これはリスクに敏感になった投資家が、円安が逆転した時のリスクが怖くなり、我先に円キャリ取引の解消に走ったためである。一時は、対米ドルで124円にまで円安となっていた円相場が、111円台まで急上昇した。バブル崩壊の典型である。
この「円安バブル」の崩壊で、円高リスクをヘッジしないで円売り・外貨買のポジションを膨らませてきた多くの投資家が大損害を蒙ったに違いない。この罪作りな「円安バブル」の崩壊も、サブプライムローン(背後に米国の「不動産バブル」)の焦げ付きも、金融緩和・超低金利の期間が長過ぎて、金利リスクや為替リスクや信用リスクに鈍感になった投資家が増えたことによって発生したものである。詳しくはまた次の機会に述べたい。
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