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2020-12-05 00:00
(連載2)ミラー国防長官代理任命の真意
古村 治彦
愛知大学国際問題研究所客員研究員
トランプ政権はアメリカ軍の撤退を進めようとしている。マーク・エスパー国防長官が解任され、クリストファー・ミラーが国防長官代理に任命された。ミラーは「全ての戦争は終わらせられなければならない(All wars must end)」という衝撃的な言葉を発した。好戦的なアメリカの国防長官が戦争を止めようと言ったのだ。「アメリカと一緒になって、中国と韓国をやっつけてやる」と言葉だけは勇ましい日本国内の右翼に聞かせてやりたい。彼らは「それじゃジョン・レノンと同じじゃないか!」と呆れて驚き、自分たちが上ったはしごが外されたと感じるだろうか。
エスパー国防長官とその側近たちが更迭されているのは、トランプ大統領の意向に沿う動きをしなかったからだ。それがアメリカ軍の撤退であり、こうした人間たちは自分たちは快適なオフィスにいて、下っ端のことなど書類上の数字でしかとらえない。
クリストファー・ミラーはジョージ・ワシントン大学時代にROTC(士官養成プログラム)を利用して、大学を卒業後に米軍に入隊している。特殊作戦部隊(グリーンベレー)に所属していたこともある。また、大学在学中には、ワシントン市内を警護する、3400名の将兵を擁するワシントン・コロンビア特別区陸軍州兵部隊(District of Columbia National Guard)の憲兵を務めていたこともある。ミラーを国防長官代理に登用したということは、トランプ大統領はワシントンを固めようとしているのだろうということが分かる。
バイデンが勝って良かった、良かったと言っている人たちはよく考えた方が良い。あなたたちが考えているよりも事態はより深刻でかつ危険なのだ。(おわり)
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