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2020-12-16 00:00
(連載2)Google AIが示唆する感染動向の受け止め方
篠田 英朗
東京外国語大学大学院教授
大阪では、死者数は30人にとどまるが、新規陽性者数は127,000人という大きさになると予測されていた。これは東京のそれぞれ27人と36,166人と比べても、圧倒的な新規陽性者数の多さであった。Google AIは都道府県ごとに予測を出すが、少しの評価の違いが、普通では説明不能にしか見えない変則的な差を生み出してしまうようだ。果たしてGoogle AI予測に、人間的な介入が働いたのだろうか。翌日の12月5日には大幅に修正された予測が映し出された。死者数は、上昇し続ける曲線へと上方修正された。新規陽性者数は、なだらかな曲線に変わり、年末になってもせいぜい一日3,000人を超える程度の水準に上がるだけだと下方修正された。
なぜたった一日でこのような大幅な修正が行われるのか。予測には説明や解説が付されていないので、全くわからない。しかし同じような現象は何度も起きているように見える。12月8日の予測は、再び死者数が減少する一方で、新規陽性者数は増加し続けるというものだった。死者数は、前日の7日までは一貫して上昇し続けるという予測だったが、8日になって突然減り始めることになった。ところが9日にはもう横ばいが続くという予測になってしまった。
私は、感染傾向に、あたかも物理学の法則のようなものが働いているかのように見ようとする人々には、懐疑的な気持ちを持っている。感染は、人間的な営みで起こってくるものだ。人間的な動向の変化で、傾向は変わる。新規陽性者の推移に、宇宙の運動法則のようなものを見出そうとするのは無理ではないかと思っている。
その意味では、Google AIのように、常に柔軟に予測を修正し、絶えず現実の動きから学び続けようとする姿勢は、評価されるべきものだ。しかし、それにも程度がある。毎日、毎日、あまりに激しく予測が動くと、一つの仮説的な予測としての意味も失われてくるのではないか。たった一日で消滅してしまう予測でしかないならば、いったい誰がその予測を指針にして政策を考えるだろうか?Google AI予測が、これからどういう発展を見せていくのか、興味を持たざるを得ない。(おわり)
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