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2020-12-18 00:00
「尖閣諸島基本法」を提言する
加藤 成一
元弁護士
周知の通り、中国が初めて尖閣諸島の領有権を主張したのは、1968年の国連による海洋調査で、尖閣諸島周辺海域に石油埋蔵の可能性があると指摘された1970年代になってからである。しかし、中国は、その後、尖閣諸島が中国の核心的利益に属するとまで主張し、最近では、中国公船等による、尖閣諸島海域への違法且つ執拗な領海侵犯行為を公然と繰り返している。これは、尖閣諸島を日本領土に編入した1895年以来の長年にわたる尖閣諸島に対する日本の実効支配を掘り崩し、中国の実効支配を確立して、尖閣諸島の奪取を狙うものである。その根底には、21世紀に入り胡錦涛政権及び習近平政権による、中国の「海洋強国」実現への野望が見て取れる。
即ち、中国は、21世紀に入り、経済力の拡大と共に、海軍力を飛躍的に拡大強化し、所謂「第一列島線」及び「第二列島線」内の海域を支配し、さらに、西太平洋全域に中国の制海権及び制空権を確立し、西太平洋全域における海洋権益の確保を狙っているのである。したがって、中国の「海洋強国」実現への野望は、「第一列島線」内の尖閣諸島や台湾及び沖縄本島の奪取をも視野に入れている、と見なければならない。中国は、これまで、そのための様々な関連国内法を制定し体制を強化してきたのであり、最近では、尖閣諸島等を対象とする、中国海警局に対して外国船舶への武器使用を認める法律の制定を進めている状況である。そして、中国による国際法を無視した南シナ海における人工島軍事基地建設から見て、中国が尖閣諸島を奪取すれば、同諸島にも日本及び米国に向けた弾道ミサイル基地等の軍事施設を建設する可能性が極めて大きいのである。
このような中国による尖閣諸島奪取を狙う極めて危険な動きに対し、日本の尖閣諸島防衛への備えは到底十分とは言えない。特に、中国公船等による武力行使に至らない、違法且つ執拗な領海侵犯等の所謂「グレーゾーン事態」に対する自衛隊の武器等使用の法的規準はいまだに存在しない。それゆえに、違法な領海侵犯等の所謂「グレーゾーン事態」そのものを防止する自衛隊の「抑止力」が働かないため、中国公船等による違法な領海侵犯行為が多発し日常化したと言える。したがって、国会は、上記の所謂「グレーゾーン事態」に対する自衛隊の武器等使用基準規定を含む、尖閣諸島を防衛するための基本的な法律案である、下記内容の「尖閣諸島基本法」(仮称)の制定を急ぐべきである。この法律案は、中国に対し尖閣諸島防衛のための強力な「抑止力」になると確信するものである。
第1条(国際法上の「先占」)沖縄県尖閣諸島は、1885年から行われた日本国政府による現地調査の結果、如何なる国の支配にも属さない無人島であることを確認したうえで、1895年1月14日の閣議決定に基づき現地に日本国標を設置して正式に日本国領土に編入し、以後実効支配を継続している日本国固有の領土である。
第2条(自衛隊の武器等使用)日本国自衛隊は、国連海洋法条約第19条等に違反し、違法に尖閣諸島の領海に侵入した外国船舶等が停船命令及び退去命令等に従わないときは、これに対して武器等を使用して排除及び破壊等することができる。
第3条(米国との共同防衛)日本国政府は、尖閣諸島等への武力攻撃、上陸、占拠等を含む、外国による違法な尖閣諸島等への侵略行為に対しては、日米安全保障条約第5条に基づき、日本国と米国とが共同して対処し、尖閣諸島等の共同防衛を遂行するものとする。
第4条(施行期日)この法律は、公布の日から施行する。
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