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2020-12-23 00:00
(連載1)私の組織論
荒木 和博
拓殖大学海外事情研究所教授
12月8日というのは、79年前に真珠湾攻撃が行われた日で、「開戦記念日」です。終戦記念日には先の戦争を回顧する一方で、この日には省みる人は殆どいませんが、大日本帝国が自らの黄昏を決定づけた重要な日です。
さて、ここで私の組織論を話したいと思います。組織を作ったりあるいは運営したり、多くの方にとって組織というのは何かをしようとするときに必要になってくる仕組みです。私も特定失踪者問題調査会の創設・運営をはじめ、組織を作り動かすことを繰り返してきました。その長い組織活動の中で痛感しているのは、発起人たちは、本来は何らかの目的を達成するために組織を設立するのですが、設立された途端に「維持する事が自己目的化する」ということです。大志を成し遂げるために生まれた組織であっても、経営者自身や専従者に飯を食わせるために動くことが最優先になってしまったり、気付いたら初志とは方向性が違う活動をする組織になってしまっていたり、なんていうことは多々ある話です。
これを避けるために大事なことは、まずは組織を立ち上げるときに「この組織はなんのために存在するのか」というビジョンを明確にして意志を確認することです。政党で言えば綱領、企業であれば定款に明示されるものですが、これは書かれているだけでは十分ではありません。構成員が目的を共有していなければ、その組織がふらふらっとしているうちに求心力が失われ、構成員は離れていってしまいます。志高く生まれた組織がそうやって消えていくのを私は何度も見てきました。
私は戦史は専門ではないので詳しいことは言えませんが、ミッドウェー海戦においても、このような問題が顕在化していました。何十隻もの軍艦が意を一つに行動しなければならない大作戦にあって、目的意識は聯合艦隊司令部のなかで徹底的に共有されなければいけませんでした。しかし、実のところ聯合艦隊は「ミッドウェー島攻略」と「米機動部隊撃滅」のどちらが本丸なのかはっきりしないままに、戦いを始めてしまいました。結果はみなさんもよくご存知のとおりです。もちろんいろいろな要素に勝敗というのは影響を受けますからこれだけが理由ではありませんが、「これをやるんだ」という目的意識を徹底的に共有し一丸となれなければ、組織というのは成果を出していくことができない、それどころか組織自体が劣化をしていくということです。(つづく)
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