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2021-02-09 00:00
(連載1)偏るハリス副「大統領」側近の顔ぶれ
古村 治彦
愛知大学国際問題研究所客員研究員
世界唯一の超大国の大統領に選挙で当選したとされるジョー・バイデンは現在78歳、大統領の任期の4年間で80歳を超える。一部では、「バイデンはとても4年間持たない。そうなれば、副大統領のカマラ・ハリスが大統領に昇格する」という声がある。副大統領の大統領への昇格の可能性が、これまでの歴代政権に比べて、バイデン政権はダントツに高いのは事実だ。副大統領から大統領に昇格となれば、彼女の周囲はほとんど居抜きになるだろうから、ハリスがどんな人物を自分に近いポジションに登用しているのかを見ることは、これまで以上に重要だ。
全体的に見て、ハリスは自分の周辺を女性でしかも非白人のマイノリティを多く登用している。これは女性やマイノリティを大事にするリベラルな民主党らしい布陣だ。また、以外にもハリス自身を含めて、アメリカ東部の名門大学8校で構成するアイヴィーリーグの出身者はほとんどいない。ここまでアイヴィーリーガーがいないというのも珍しい。彼女たちは揃って民主党エスタブリッシュメント派に属する理想主義的な現代風のリベラルの人々だ。少し長くなるが、ハリスを特徴付ける5人のスタッフ、ハーティナ・フロノイ、ロヒーニ・コソグル、ナンシー・マクエルダウニー、シモンヌ・サンダース、アシュリー・エティエンヌを解説した上で、最後に思うところを述べたい。
副大統領首席補佐官にはハーティナ・フロノイ(Hartina Flournoy)が選ばれた。フロノイは64歳のアフリカ系アメリカ人女性。直前までビル・クリントン元大統領の首席スタッフを務めている。ジョージタウン大学で学士号と法務博士号を取得し弁護士となった。ビル・クリントン元大統領の後輩ということになる。全米教員組合委員長公共政策担当アドヴァイザーなどを務め、その後民主党全国委員会入りした。1992年には民主党全国党大会の事務局長を務め、クリントン・ゴアの政権以降ティームに入り、クリントン政権下のホワイトハウスに入った。2000年の大統領選挙ではアル・ゴア陣営の財務担当部長を務めた。2004年、民主党全国委員長に選ばれたハワード・ディーン(元ヴァーモント州知事、2004年の大統領選挙で民主党予備選挙に出馬し一時は支持率トップとなった)の委員長就任時の引継ぎに貢献した。フロノイは民主党全国委員会に長く参加していたこと、クリントン政権にも参画していたことから、エスタブリッシュメント、ヒラリー派に属する人物である。
国内政策担当補佐官にはロヒーニ・コソグル(Rohini Kosoglu)が起用される。スリランカ系アメリカ人である。コソグルはミシガン大学で学士号を、ワシントンDCにあるジョージ・ワシントン大学で修士号を取得した。その後は、政治の世界に入り、オバマケア成立にも尽力した。2017年からは連邦上院議員に当選したばかりのカマラ・ハリスの上級補佐官となった。2020年の大統領選挙民主党予備選挙では首席スタッフとなったがハリスは早々に撤退を余儀なくされた。コソグルはハリスの側近中の側近だ。コソグルはアメリカ国内政策担当であるが、彼女の存在は対外的に意味を持つ。対中国、対ロシアの戦略において、インドとスリランカはアメリカにとって重要になってくる。アメリカは中国の「真珠の首飾り」戦略に対抗するために「QUAD」(クアッド、アメリカ、日本、オーストラリア、インド)という協力関係を強化しており、インドに近いスリランカの地政学的重要性からコソグルの登用を考えてよいだろう。(つづく)
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