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2021-02-10 00:00
(連載2)偏るハリス副「大統領」側近の顔ぶれ
古村 治彦
愛知大学国際問題研究所客員研究員
国家安全保障担当副大統領補佐官にはナンシー・マクエルダウニー(Nancy McEldowney)が就任する。マクエルダウニーは、ジョージ・W・ブッシュ政権下では駐ブルガリア米国大使を務めた。フロリダ州のニュー・カレッジ卒業後、コロンビア大学国際公共政策大学院(SIPA)とアメリカ国防大学(NDU)でそれぞれ修士号を取得後、1986年に国務省に入り、外交官となった。2001年から2004年にかけては駐アゼルバイジャン米国大使館首席公使、2005年から2008年にかけては駐トルコ米国大使館首席公使を務めた。マクエルダウニーは2009年から2011年にかけてヨーロッパ問題担当筆頭国務次官補代理を務めた。そして、2011年から2013年にかけては国防大学の学長代理と上級副学長を務めた。その後、フォーリン・サーヴィス・インスティテュート(FSI)の部長を務めた。FSIは国務省に採用された若手職員たちに、外国語や指導力など外交官としての訓練を施す機関だ。2017年からはジョージタウン大学ウォルシュ外交大学院の外交官養成系修士号プログラムの責任者に就任した。2010年以降は現場の第一線から外れて、教育畑に移った印象だ。ジョージタウン大学外交学部は外交官を多く輩出している機関であり、国務省ともつながりが深い。また、繰り返しになるが、ビル・クリントン元大統領の母校でもある。国務省のキャリア外交官であり、人脈的にヒラリー派で専門はトルコとアゼルバイジャンということになる。対イラン戦略でどういう役割を果たすのか、注目される。
シモンヌ・サンダース(Symone Sanders)は上級補佐官と首席報道官を務めることになる。1989年にネブラスカ州で生まれた。まだ31歳だ。ネブラスカ州にあるイエズス会系の学校であるクレイトン大学を卒業後、ネブラスカ州オマハ市長の広報担当からキャリアをスタートさせた。2015年には大統領選挙民主党予備選挙候補者バーニー・サンダースの選対に入り、広報を務めた。2016年には選対から離れ、CNNのコメンテイターとなった。2019年、バイデン陣営に上級顧問として入った。サンダースはハリスと直接関係があったのかどうか不明だ。サンダース陣営の広報担当を務めたという経歴があるが、今回の大統領選挙では、バーニー・サンダースが再び出馬したというのに、バイデン陣営に入った。2016年の大統領選挙でサンダース陣営の広報として脚光を浴び、その後CNNでコメンテイターとなったということを考えると、エスタブリッシュメント派に取り込まれたのかもしれない。
アシュリー・エティエンヌ(Ashley Etienne)は42歳の若さで広報担当副大統領補佐官を務める。エティエンヌは30代で、バラク・オバマ政権で特別補佐官を務め、その後はナンシー・ペロシ連邦下院議長の報道担当と上級補佐官を務めた。広報担当として大変有能な人物のようだ。エティエンヌはテキサス州のサム・ヒューストン州立大学を卒業し、その後、ジョンズ・ホプキンズ大学で政治コミュニケーションの修士号を取得した。その後は、政治コミュニケーションの分野で活動した。2008年バラク・オバマの大統領選挙の選対で広報担当を務めオバマ政権では広報担当部長と特別補佐官を務めた。その後、ナンシー・ペロシ連邦下院議長の広報部長と上級補佐官を務めた。2020年の大統領選挙ではバイデン選対に入り、戦略立案担当の上級顧問を務めた。
ハリスの周囲は女性とマイノリティで固められている。こうしたこれまでワシントンで男社会の壁に阻まれてきた人たちが活動する機会が与えられるのは結構なことだが、あまりに偏り過ぎているようにも感じられる。これまで男社会で男ばかりに偏っていたではないか、という批判はその通りであるが、「偏り」という悪習を男社会から踏襲するのもおかしい。バイデンがいつまでもつだろうかということはわからないし、4年間健康に勤め上げることも十分考えられるが、いざハリスが大統領に「昇格」ということになれば、ハリス副大統領の周囲を固めている女性たちも一緒により重要なポジションに昇格する可能性が高い。これまでよりも「副大統領のスタッフ」に対して注目する必要がある。そして、この必要性こそがバイデン自身とバイデン政権が内包する「瓦解の芽」なのである。(おわり)
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