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2007-09-13 00:00
避けるべきは思考停止
小倉 正
アルバイト
9月12日付けの近藤哲次氏の本欄に対する投稿「今やピークアウトした石油生産」を興味深く拝読しました。早期ピークオイル説に基づいた論旨で、このような論旨は初めて拝見しました。おおむね趣旨には賛成なのですが、石油増進回収の意義についてはちょっと異論がありますし、議論の終わり方にも不満があります。
「原油生産の現場では、二次、三次回収で見せかけの産出量維持に躍起になっていますが、それはピークアウト後の減耗を急激にするもので、世界の危機を一層深めるだけであると思われます」とのご指摘ですが、私見では、危機はストックの限界とスループットの限界の2種類に分ける必要があります。現在起こっている価格高騰は、単に石油のサプライ・チェーンのどこかのボトルネックでの需給アンバランスによる、つまり需要と供給が右肩上がりの段階での一時的なスループットの限界だというのが、後期ピークオイル説の論者の現状認識かと思います。
元々ピークオイル説で問題にしていた現象はストックの限界の方ですが、石油増進回収はストックの限界に対する緩和策にはなっています。ですから近藤氏の「ピークアウト後の減耗を急激にする」というのは、ピークアウト後の右肩下がりの時点でのスループットの限界を問題にしているものですが、危機が起こるのはストックの限界によってピークになる時点が先なので、後の危機は脇に置いておいて目前の危機対応を進めやすいという性質から、どんどん進められて不思議はない対策だと思います。
「現行諸制度の崩壊は不可避です」とのご指摘についても、諸制度が単に持続不可能であるだけでなく、さらに「崩壊が不可避」だとしても、救命ボート建設戦略となる緊急避難型の対策は打たざるを得ず、パワーダウン戦略のための Oil Depletion Protocol のような国際協調の道も外交としては探る必要があるでしょう。できることは何もない、という諦観を結論に据えられると、読者が思考停止となるので好ましくないと考えます。
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