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2021-02-26 00:00
「新党」でなおトランプに勢い
古村 治彦
愛知大学国際問題研究所客員研究員
トランプが新党を結成するかもしれない、というニュースがしばらく前に出た。その後、続報を聞いていなかったが、世論調査で驚きの数字(『Poll: 64 percent of GOP voters say they would join a Trump-led new party』、The HILL、2021/2/5)が明らかになった。サンプル数や方法に問題があり、信頼性がそこまで高くないとは言え、『ザ・ヒル』誌が実施した世論調査で、「トランプ新党」の支持率が高いことが分かったのだ。「トランプが新党を作ったら」という質問に、共和党支持者の64%がそちらを支持する、そのうちの半分32%はぜひとも支持すると答えた。支持政党なしは28%、民主党支持で15%がトランプ新党を支持すると答えた。そして、有権者全体にすると、37%がトランプ新党を支持すると答えたのだ。
共和党は党内にエスタブリッシュメント派対トランプ・ポピュリズム派の分裂を抱えているが、トランプ支持の有権者たちが離れてしまえば、共和党は選挙で勝てないどころか、数字上は第三党に転落してしまう。エスタブリッシュメント派はトランプにそっぽを向かれたら選挙に負けるというプレッシャーを感じざるを得ず、トランプは「いつでも新政党をつくるぞ」という姿勢を見せながら、駆け引きができる。実際に、新党結成をしないとしても、トランプの影響力は強く残る。
民主党側が高みの見物を決め込めるかというとそうでもない。民主党内部はエスタブリッシュメント派対進歩主義派の対立を抱えているが、共通の敵であるトランプをとりあえずホワイトハウスから追い出した余韻で対立は激しくないが、進歩主義派の要求にエスタブリッシュメント派は応えたくないという亀裂もでてくる。また、2016年の大統領選挙民主党予備選挙でヒラリーを勝たせるために行われたとされる民主党全国委員会の不正問題も解決したわけではない。トランプが影響力を行使する、もしくは新党を作るという行動に出た場合、進歩主義派も同様の手段でエスタブリッシュメント派を揺さぶるということも考えられる。
トランプ新党の具体的な計画は出ていない。しかし、その名前だけでもこれだけの有権者が期待を寄せている。せっかく協力してトランプをホワイトハウスから追い出すことに成功した、民主、共和の二大政党にとって深刻な問題は続く。
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