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2021-03-05 00:00
総務省問題、徹底的に糾さねばならぬ
伊藤 洋
山梨大学名誉教授
安倍政権の約8年間、「桜を見る会」だの、「モリカケ事件」だのと隠微なスキャンダルに象徴される「ネポティズム(縁故主義)」がこの国の政治を貶めた。それでも安倍政権の「縁故」は友人もしくは支持者であり、血縁ではなかった。しかし、いま起こっている問題は、放送事業会社に勤務する菅首相の長男とその業務に関わって許認可監督権を持つ官僚との間の癒着である。もとより菅首相は「息子といえども別人格」と、自身の関与を完全に否定してきた。それはそれで一応説得力が無いわけではない。それでいて「それはそうですね」と言って矛をおさめることのできないのが因果応報。この問題の菅首相その人の印象からくる属人性であり不純さである。
ここで、まず非難さるべきは、十を超える多数の現役の総務省高級幹部が、自らが許認可権を握る事業者からの多数回の接遇に危険を冒してまで無防備に応じたという事実である。彼らが業者からの勧誘(誘惑?)に応じなければ何もコトは起こらなかった。にも拘らず彼らはこれに応諾した。それは何故なのか。彼ら役人たちが無節操の故であったとすればこれは最早言うべき言葉は何もない。即刻、処分すればよい。だが、そうではなく公務員倫理をこれ以外の場面では遵守していたのであるならば、そこにはそうせざるを得なかった暗黙の「力」が有ったのではないかというのが世人の疑念であろう。
そこには、三つのケースが考えられる。すなわち、(1)時の権力者の身内との接近が我が身の近未来に大いに有益であるという打算、(2)すでに彼ら自身が今のポストにあるについて菅氏の発する利益を得ていた受益者、(3)業者からの誘いに応じなければ菅氏から冷遇されるという「恐怖」が共通認識になっていた疑い。(3)についてはふるさと納税制度について異見を告げて菅総務大臣(当時)に左遷された先輩を見ていた経験が素因になっているかもしれない。何れにもせよ、総務省(少なくとも通信3局。ここには周波数配分に係る電磁波資源という巨大な国家的権益が存在している。菅氏が移動体通信に口を出すのはここに権益がある故であろう)を上げて、およそ健康な職場環境とはいえない。各種報道によれば菅首相のその総務省における権力の隠然たる浸透は尋常でないと聞く。その「噂」が本当であれば、「長男と私は別人格だ」という菅氏の国会答弁は何の意味も無く、「妻は私人だ」と言い募った前首相の姿とダブって見える。
戦前であれば内務省に相当する総務省。総務行政に加えて、47都道府県など1800の団体の自治体行政に巨大金融業務の郵政行政、さらに情報通信行政という情報化社会の全般を扱う巨大官庁に隠然たる政治力を行使するという、ひろく伝えられている菅氏の権力統治イメージは不健康そのものだ。国民的力を以てかくの如き隠微な状況は一掃せねばならぬ。
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