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2021-03-13 00:00
(連載2)頭でっかちなワシントン発の米中情報に危惧
山田 禎介
国際問題ジャーナリスト
中国が巨大な経済力をつけた現在は、それがさらに進み、各新聞社、テレビの北京特派員経験者が、ほとんど例外なくワシントン支局員や北米総局長の座に就いた。そのせいかどうか、ワシントン発の米中関係の情報の比重が極めて高くなったように映る。事実、現在はワシントン特派員を終えて編集委員、論説委員を務める彼らの署名記事は、わたしの目から見れば、どう見ても中国への“身びいき感”がぬぐえない。場合によってはかなりの過大評価が見られる。
現実に中国の国内総生産(GDP)が米国に次ぐ事実から、米中関係の情報が多くなる面があることは認めざるを得ないが、ホワイトハウスが見る世界は、中国だけではない。ジャマイカ・インド系のカマラ・ハリス副大統領の登場で、ようやく日本人にもその実態が仄見えてきた感じだが、例えばインドからの米国移民は、特異な高学歴者が圧倒的だ。ハイテク産業に就くインド系のその姿は、他の米国移民と大きく違っていることなど、これまでそのような報道は皆無に近かったから無理もない。
米欧にとって大西洋は内海で、米東海岸と欧州の時差はわずか5時間、1日の生活時間を共有する間柄だ。ワシントン、ニューヨーク、ボストンという米国東海岸からは至近の欧州であり、また米国人が見る中東と、欧州からの中東を見る目には大きな違いがある。さらに米国への対応と違う、中東を旧植民地支配した欧州の英仏の本音の動きなどは、ワシントン特派員でなければ知り得ないものと思う。
これは、地球の半分を占める太平洋をまたぎ、時差10数時間という米大陸とアジアの関係とは大きく違う。わたしが懸念するメディアの中国観は、「実はこうなんです!」と、スタッフが集めたメディア資料をもとに、ワイドな液晶画面から優しく語りかける、テレビ出身解説者の声でさらに増幅されて、われわれの茶の間に届く。これに多くの人が耳を任せるのは実に怖い。日本の世論構成の一助ともなっているからだ。(おわり)
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