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2021-03-15 00:00
(連載1)米国に民主主義の理念語れ
篠田 英朗
東京外国語大学大学院教授
米国のブリンケン国務長官とオースティン国防長官が来日し、明日16日、岸防衛相、茂木外相と協議を行う。コロナ禍での2+2(両国の外務・防衛大臣)会合は、画期的である。折しもバイデン政権が、
『暫定的な国家安全保障戦略の指針』
と題された文書を発表したばかりの時期である。日本にとって重要であるだけではない。バイデン政権にとっても重要な会談である。成功が強く期待される。
バイデン大統領は国内での融和を唱えて大統領に就任した。もちろん民主党リベラル色が強い方向性を打ち出しているとはいえ、保守派やトランプ前政権を刺激するような発言や行動は、控えているように見える。そのバイデン政権が国際会議等で強調しているメッセージは、「アメリカは戻った(America is Back)」である。多国間協調主義に戻った、と言いたいわけだが、それは、アメリカが民主主義諸国の指導者として復活する、というメッセージでもある。国内の団結と、国際的な指導国としての復活が、一体のものとして、語られている。
その世界観の中で、「権威主義国家」の代表としての中国の挑戦が理解されている。アメリカは中国との競争に勝ち抜くつもりだが、それは民主主義諸国が権威主義諸国からの挑戦に勝ち抜くことでもある。『暫定的な国家安全保障戦略の指針』の3ページに次のような記述がある。「避けがたい困難の数々を思えば独裁政治こそが最善の道だという者がいる。変容する世界の困難に対処するためには民主政治が欠かせないのだとする者もいる。私は、民主主義こそが自由、繁栄、平和、そして尊厳の鍵であると確信している。我々は、民主主義こそが国民や世界中の人々に貢献することに疑いの余地がないと必ず証明する。」
同指針が示すことは、次のようなものだ。現状は、民主主義が世界的に退潮傾向に入っている。この民主主義が権威主義に押され気味になっている傾向を逆転させることこそが、アメリカの対外的な安全保障にも、国内的な団結にも、合致する目標だとみなされる。この目標は、同盟国・パートナー国との協働によって成し遂げられる。そのようにして、アメリカは中国との競争に勝ち、国際社会の指導国として踏みとどまり続ける。(つづく)
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