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2021-03-30 00:00
(連載1)日本を裏切ったミャンマー国軍司令官
篠田 英朗
東京外国語大学大学院教授
ミャンマー軍が国軍記念日を迎え、首都ネピドー郊外で開かれた式典で国軍が軍事パレードを行った3月27日、判明しているだけで市民114人が亡くなった。2月1日クーデター以降の死者数は判明しているだけで423人、拘束されて消息不明になっているのが2428人だ。たまらず日本を含む12カ国の軍のトップが
ミャンマー軍を強い言葉で非難する声明
を出した。
これまで軍への批判を曖昧にしてきた日本だが、28日、国際的な共同声明の発出にあわせて、防衛省と外務省で、これまでより踏み込んだ強い内容の非難声明を出した。日本では、統合幕僚長山崎幸二陸将の名前を出した声明が出た。「民間人に対する軍事力の行使を非難する。およそプロフェッショナルな軍隊は、行動の国際基準に従うべきであり、自らの国民を害するのではなく保護する責任を有する。」という職業軍人の国際基準の倫理観に訴える内容が、自衛官の胸に響いたことは想像に難くない。大変に素晴らしいことである。平素から、日本の憲法学通説の破綻した憲法9条解釈の誤謬を糾弾し、自衛隊は「憲法が言う『戦力(war potential)』ではなく、国際法上の軍隊(military)である」、と主張し続けている私としても、国際規範に沿い、日本が尊重すべき同盟国と共同歩調をとった、山崎統合幕僚長の毅然とした判断の表明を、全面的に称賛したい。
日本での統合幕僚長の声明発出に続いて、外務省が
ミャンマー軍を非難する茂木外務大臣談話
を出した。これまでの外務省の対これまでの対応からすれば、一歩進んだ内容だ。統合幕僚長の12カ国声明への参加を支援するタイミングで、「軍隊は国民の生命を国外の脅威から守るための組織であることを、ミャンマー国軍指導部は想起すべき」、と強調した声明を発出したことを、高く評価したい。この茂木外相談話の二段落目「ミャンマー国軍・警察による市民への発砲や被拘束者に対する非人道的な扱い、報道活動に対する厳しい取締りは、民主主義の重要性を唱えるミャンマー国軍の公式発表と矛盾する行動です」は、外務省の気持ちが滲む文章だと感じる。
日本はミャンマーの民主化を支援する立場から、ミャンマー軍と緊密な関係を続けてきた。自衛隊は
ミャンマー軍に対する能力構築支援
を続けてきたし、外務省はミャンマー支援を熱心に行ってきた笹川陽平笹川平和財団名誉会長をミャンマー国民和解担当日本政府代表に任命しながら、外交支援も行ってきた。防衛省がミン・アウン・フライン司令官を日本に招いた時に会談した茂木外相の写真などが、日本の対応に批判的な人々のSNSでやり取りされたりしていた。だからこそ、今回の声明には意味がある。(つづく)
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