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2007-09-14 00:00
拙著『新・戦争論』の刊行に当たって
伊藤 憲一
日本国際フォーラム理事長
安倍首相の突然の辞任で世情騒然としているが、その最中の本日(9月14日)、私の新著『新・戦争論』が全国書店で一斉に発売されることとなった。じつは、この1年余だれにも言わずに一人静かに筆を進めてきた著述である。その構想は、私の外交官生活18年、大学教授兼シンクタンク理事長生活30年をつうじて発酵し、熟成してきたものであるので、この書は私のライフワークの結晶であり、それを書き終えた私のいまの心境は、遺言を書き終わったときのようなほっとした心境である。
テーマは雄大であり、人類史を遡って「無戦争時代」「戦争時代」「不戦時代」と区分する史観が全体を貫流している。「人類は過去一万年間という気の遠くなるような時間の流れをつうじて戦争時代のなかに身を置きつづけてきたために、無戦争時代に関する記憶を失い、不戦時代がついそこまで来ているのだと想像する想像力も失ってしまったということです。その想像力をたぐりよせようというのが、この本の目的です」(『新・戦争論』90頁)と述べている。
これ以上、その内容をくどくどと説明するつもりはないが、この政策掲示板「百花斉放」の読者の皆様には、ぜひとも一度書店で現物を手に取っていただきたいと思う。現在日本では「テロとの戦い」(具体的には、インド洋上での海上自衛隊の給油活動)の是非をめぐって、国論が二分される状態となっているが、この問題はより大局から判断する必要があると思う。本書のなかには「独立的政治単位」「UAD」「エコMAD」などの多くの新概念が登場するが、それらを手がかりにして全く新しい観点から「テロとの戦い」の意味を考えてほしいのである。なお、本書は「新潮新書」の9月新刊本の1冊(定価680円)である。
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