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2021-06-08 00:00
米政権6兆ドル予算教書提出で攻防始まる
古村 治彦
愛知大学国際問題研究所客員研究員
バイデン政権は600兆円規模の予算を提案した。これから連邦議会で審議が行われる。これだけ大規模な予算は戦後例がないほどのものだ(戦時中はまた別だ)。これまで、「大きな政府は悪」「なんでも市場に任せておけばうまくいく」という考えから、振り子が逆に触れた形になっている。今回の予算はインフラ整備と格差縮小に主眼が置かれている。
民主党内でも進歩主義派は歓迎している。しかし、民主党中道穏健派と共和党は反対している。やはり財源が問題になってくる。バイデン政権は富裕層と企業への増税を財源にしようとしている。それでも赤字国債の発行を止めることはできない。国債の発行額の増加によるインフレ懸念がある。
連邦下院は2020年の選挙で共和党が議席数を増やしたがそれでも民主党が過半数を握っている。連邦上院は民主党50議席、共和党50議席、議長役の副大統領が民主党なので、民主党が過半数を握っているが、その差はほぼないという状態になっている。連邦上院では民主党の中道穏健派の動きが重要になってくる。この議員たちが反対に回れば、予算は否決されてしまうことになる。バイデン大統領は自ら連邦上院議員たちと会談を持つなどして根回しを行っている。
今回の提案された予算がそのまま可決されることはない。かなり削られるところもあるだろう。削られることを見越して提案だけはしている部分もあるだろう。予算をめぐる攻防戦がこれから始まる。
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