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2021-06-13 00:00
(連載2)日本の海岸は守れない
荒木 和博
特定失踪者問題調査会代表
冒頭で触れた李相哲氏は他国への上陸任務を行うことになった際、当初香港に上陸するよう指示されていました。ところが、彼はそれを嫌だと言って、日本に上陸することを志願したのです。工作員が拒否できるのも意外ですが、その上官が日本に場所を変えた理由も驚いたものです。彼いわく、工作員の養成には多額の費用がかかっていますし、嫌々難しい香港への上陸を試みて失敗してしまうくらいなら、工作員の希望を聞いて簡単な日本への上陸で経験を積ませたほうがいいという判断だったそうです。これもひどい話ですが、これが日本の海岸の現実なのです。
日本の防衛における根幹、国是は、「専守防衛」です。李相哲氏の体験談を聞くだけで、「専守防衛」が日本の領域の特性上不可能だということがわかります。守勢に回ることの不利は日本に限らないのですが、それにしてもこの長大な海岸線を持つ日本の領域を「専守防衛」で守り切ろうというのは、あまりにも現実的ではありません。
日本が形式的にでも「専守防衛」を掲げ続けることが出来たのは、自衛隊が「盾」を称し、米軍が「矛」を見せていたからです。当然この矛は、平時の工作船なんかに対して振られることはありません。不法な上陸の試みを退けるためには時に威嚇しなければなりませんし、加害を退けるために武力行使をしないといけないときもあります。そして、侵害を受けたら報復をする意志と仕組みを持っていないと防げないのです。
今回取り上げた、北方領土を除いても3万4千キロある長大な海岸線の守りの薄さというのは、拉致被害において改めて浮き彫りになった日本の本質的な脆弱性の一つですが、これは日本が今まで曖昧にして自らをごまかしてきた全ての象徴でもあります。これらをいまもう一回見直して改めるところは改めていく、そういう姿勢が我々の大切な家族や国を守っていくために必要なのではないでしょうか。(おわり)
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