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2021-06-29 00:00
コーンウォール・コンセンサスの時代
古村 治彦
愛知大学国際問題研究所客員研究員
6月11日から13日にかけて、G7会合はイギリス南部のコーンウォール半島で開催された。対中政策、インド太平洋地域における中国の動きを以下に牽制するか、ということが話されたが、中国は着々と準備を進めている。この対中強硬路線を推進しているのは、「バイデン政権のアジア政策のツァーリ(Asia Tsar)」と評されるカート・キャンベル国家安全保障会議インド太平洋調整官である(拙著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』)。そして、バイデン政権の対中強硬姿勢の中心にいるのは、アントニー・ブリンケン国務長官である。
しかしながら、バイデン政権は対中強硬一辺倒ではない、というのが私の見立てだ。なぜ対中強硬ではないと考えるかといえば、ジェイク・サリヴァンが国家安全保障問題担当大統領補佐官として政権内に入っているからだ。サリヴァンは中国との競争は破滅に向かわない方向で行うべきという論文も書いている。
そして、重要なのは、サリヴァンが「産業政策」に注目している点だ。日本では経済産業省が2021年6月4日「経済産業政策の新機軸」という構想を発表したが、その中にサリヴァンの発言も引用されている。今回のG7会合で、「コーンウォール・コンセンサス」メモという文書が配布されたそうだが、これはサリヴァンの肝いりであり、日本の経産省からの人員もメモ作成に関わったと考えられる。国家とビジネスの関わる部分はそのまま産業政策のことを示唆している。
産業政策研究と言えば、古典的業績であるチャルマーズ・ジョンソン(Chalmers Johnson、1931-2010年、79歳没)の『通産省と日本の奇跡-産業政策の発展 1925-1975(MITI And the Japanese Miracle: The Growth of Industrial Policy, 1925-1975)』(1982年)だ。新自由主義が隆盛となったここ30年ほど、産業政策について顧みられることはなかった。しかし、時代は産業政策の時代となりつつあるようだ。チャルマーズ・ジョンソンについては拙著『アメリカ政治の秘密 日本人が知らない世界支配の構造 (四六判上製)』(2012年)で詳しく取り上げたが、チャルマーズ・ジョンソンに再びスポットライトが当たる日が来るのかもしれない。
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