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2021-07-19 00:00
(連載1)立憲・共産は「消費税5%減税」の代替財源を示せ
加藤 成一
外交評論家(元弁護士)
立憲民主党や日本共産党は、今秋にも予想される衆議院解散総選挙に向けて、野党共通政策として、現行の消費税(付加価値税)10%から5%への時限的減税を「選挙公約」とする方針のようである。その理由として、長引くコロナ禍での消費の落ち込みを挙げている。
確かに、5月11日総務省発表の家計調査によれば、2020年度の消費支出は前年度比4.9%減少した。これは新型コロナウイルス感染症流行の影響による外食、観光、交通、衣服などの消費の落ち込みが原因である。しかし、消費の落ち込みが外食や観光などの需要低迷にあるとすれば、仮に消費税を5%に減税しても、その効果は限定的であり消費全体の回復は望めないであろう。
なぜなら、需要低迷の最大の原因が新型コロナウイルス感染症の流行である以上は、これが収束しなければ、たとえ消費税を5%に減税しても、外出自粛やテレワーク、巣ごもりなどにより、外食や観光などの需要低迷は解消しないからである。その意味で、消費税の減税をしなくても、ワクチン接種の普及などのコロナ対策の徹底により、新型コロナウイルス感染症流行が収束すれば、外食や観光などへの需要は反動で増大するはずだ。なお、海外ではドイツやイギリスなど一部の国が相次いで消費税の減税に踏み切ったが、消費全体を押し上げる効果が見られなかったことは参考になろう。
立憲民主党や日本共産党は、「消費税5%減税」を主張するが、その代替財源の確保が明確ではない。2020年度の税収は60兆8216億円であり、そのうちの消費税は20兆9714億円である(財務省7月5日発表)。したがって、消費税を5%に減税すれば、その分の税収が不足するから、約10兆円の代替財源が必要だ。富裕層への所得税や大企業への法人税の増税が考えられるが、日本の税率は欧米先進諸国に比べて特段低いとは言えず、これらへの増税は一層の景気停滞をもたらす危険性がある。(つづく)
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