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2021-07-20 00:00
(連載2)立憲・共産は「消費税5%減税」の代替財源を示せ
加藤 成一
外交評論家(元弁護士)
また、大企業への増税は国際競争力の低下をもたらしかねない。時限的な赤字国債発行も考えられるが、財政健全化に逆行する。いずれにしても、立憲民主党や共産党が消費税減税を主張する以上は、代替財源10兆円の確保について具体的且つ確実な財源を示す必要がある。とりわけ、立憲民主党は旧民主党時代に一度政権を担当し消費税増税を主張し三党合意をした過去があるだけになおさらのことである。
立憲民主党は、「消費税5%減税」はコロナ禍における消費落ち込みに対応する時限的政策であり、コロナ禍が収まれば元の税率に戻す方針のようである。この点は「消費税反対」の共産党とは異なる。しかし、一旦消費税の5%減税を行なったのちに、再び税率を戻すことは短期的に困難である。なぜなら、元の税率に戻すことで選挙が不利になり政権を失う恐れがあるだけでなく、元の税率に戻せば増税になり消費が落ち込み景気の停滞をもたらす危険性があるからである。したがって、具体的且つ確実な代替財源がなければ、元の税率に戻すまで長期間にわたって社会保障財源が不足し、その確保が困難になるであろう。
社会保障制度が充実しているスウェーデン、ノルウェー、フィンランドなどの北欧福祉国家では消費税(付加価値税)の税率は25%程度であり、欧米先進諸国ではいずれも消費税(付加価値税)の税率はおおむね日本より高く、社会保障の重要財源としている。なぜならば、消費税は所得税や法人税のように景気変動に左右されない安定的な財源だからである。日本も同じである。
とりわけ少子高齢化が急速に進む日本では今後も社会保障関係費の増大は不可避であるから、消費税の重要性はますます高まる。「消費税5%減税」による消費全体の回復効果が極めて限定的であることは前記の通りであるが、そのうえに、立憲民主党や日本共産党が減税分5%に相当する約10兆円の具体的且つ確実な代替財源を示せなければ、「消費税5%減税」は単なる選挙目当てであると言わざるを得ず、極めて無責任であると言えよう。(おわり)
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