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2021-07-22 00:00
(連載1)危機管理欠ける五輪委、国際社会への貢献にこだわれ
篠田 英朗
東京外国語大学大学院教授
小山田圭吾氏の壮絶いじめ問題が、大きな騒動となっている。私は、小山田氏の和光学園中学時代からの友人で「フリッパーズ・ギター」時代の盟友である小沢健二氏と高校の軽音楽部で同期だった。小山田氏と高校時代に会ったこともあり、噂話も聞いたことがある。ここでは人格問題は、あえては書かないようにする。いずれにせよ、今回の騒動の発端は、小山田氏が五輪開会式の作曲者に選ばれたことだ。そこに大きな疑問がある。
大会組織委員会の当事者意識が、あまりに薄弱だ。開会式直前で音楽を変更することができない、という事情があるのはわかる。だが、そうであるならば、なおさら大会組織委員会としての倫理的立場ははっきりと表明し、糾弾すべきことを糾弾したうえで、五輪精神に傷をつけて多くの人々の期待を壊したことを本人と共に謝罪すべきではないか。
ところが五輪組織委員会は、当初「『組織委員会として把握していなかったが、不適切な発言である』としたが、『本人はこの取材時当時の発言については後悔し反省しており、現在は高い倫理観をもって創作活動に献身するクリエイターの一人であると考えている』と擁護」(スポーツ報知、7月17日)することしか行わなかった。この報道によれば、組織委員会が問題視しているのは、小山田氏の雑誌における「発言」であり、小山田氏の「行為」ではない。つまり、これでは、雑誌における「発言について」本人が「公開し反省」すれば、組織委員会としてはそれで帳消しにする、ということになってしまう。つまり、雑誌記事さえなかったことにできれば、それでよい、という立場になってしまう。これでは凄惨ないじめの被害者の関係者はもちろん、いじめの内容に精神的なショックを受けている多くの人々が、全く納得しないのは、当然だろう。小山田氏は結局19日に辞任し、橋本会長はあとになって「早急に判断し、解任しなければならなかった」(日刊スポーツ、7月22日)と述べた。
知的障害者の権利擁護と政策提言を行う「全国手をつなぐ育成会連合会」が、公式サイトで
「今般の事案を踏まえても留任させる決断をしたにも関わらずまったく公式な説明を行っていない東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会には、重い説明責任があります」
と指摘しているのも、そのような組織委員会の態度への疑問からだろう。(つづく)
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