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2021-07-23 00:00
(連載2)危機管理欠ける五輪委、国際社会への貢献にこだわれ
篠田 英朗
東京外国語大学大学院教授
「全国手をつなぐ育成会連合会」は、「本会としては、すでにオリンピックの開催が直前に迫っており、小山田氏も公式に事実を認め謝罪していることも勘案して、東京2020オリンピック・パラリンピック大会における楽曲制作への参加取りやめまでを求めるものではありません」と述べながら、「しかし、今般の事案により、オリンピック・パラリンピックを楽しめない気持ちになった障害のある人や家族、関係者が多数いることについては、強く指摘しておきたいと思います」とも強調しており、問題の本質を捉えている。同会の「声明文」は、冷静さを保ちながら、日本社会のあり方を問い直し、その観点から五輪組織委員会に社会的責任のある態度をとることを求めている点で、優れた文章だ。
これと対照的なのが、五輪組織委員会だ。ただ事の鎮静化だけを図ることだけを目指し、「発言」を「反省」したから辞退させることは回避したい云々といったことだけを気にしている近視眼的な姿勢に終始しているように見える。
現在、日本の世論は、オリンピック開催の是非で割れている。過去にも、現在にも、多くの不祥事や不手際が生じていることへの批判の声も強い。この背景に、「五輪貴族」への接待だけは欠かさないようにしながら、前世紀の高度経済成長時代の物語を振り回すだけで、高齢男性たちが巨額の資金を動かしている仕組みへの深い猜疑心があることに、五輪組織委員会は、もっと真摯に向き合うべきだ。
金儲けに群がった高齢男性たちが迷走を繰り返して無残にも失敗した、という破綻のシナリオから脱するには、どうしたらいいのか。五輪が目指している高尚な精神に共鳴して、日本も国際社会に貢献するために五輪を行う、という未来志向の価値観にこだわる必要がある。五輪組織委員会には、そのことを真剣に考えてほしい。(おわり)
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