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2021-07-30 00:00
(連載1)日本共産党は「全体主義政党」と言えるか
加藤 成一
外交評論家(元弁護士)
国民民主党の玉木雄一郎代表は、7月15日立憲民主党及び国民民主党がそれぞれ労働組合「連合」と締結した政策協定に盛り込まれた「左右の全体主義を排し、健全な民主主義の再興を推進する」という文言をめぐり、「全体主義とは共産主義、共産党のことである」と記者会見で発言した。これに対して日本共産党の小池晃書記局長は7月19日の記者会見で、「わが党は戦前から軍国主義、ファッシズムと戦い続け、民主主義と自由を何よりも大切にしている。全体主義とは対極にある政党だ。」と反論し、共産党を全体主義とした発言の撤回を求めた(7月19日付け「朝日新聞」)。
今回、立憲民主党及び国民民主党と政策協定を結んだ「連合」の「共産党アレルギー」は根深いものがある。「連合」は共産党系労働組合の「全労連」と激しく対立してきた長い歴史があるからである。「連合」の神津会長は6月23日東京都内での講演で、「共産党は民主主義のルールにのっとって物事を運営する組織とは言えず、そういう政党と連立するなどは意味不明だ。安全保障や日米同盟、天皇制など国のあり方の根幹の考え方も違う。共産党との連立政権はたとえ閣外協力であってもあり得ない。」(6月23日付け時事ドットコムニュース)と述べた。前記玉木代表の記者会見での発言はこの連合の立場にも配慮したものであろう。
ところで、一般に、全体主義とは、「個人の利益よりも全体の利益を優先し、全体に尽くすことによってのみ個人の利益が増進するとの前提に基づく政治体制であり、一つのグループが絶対的な政治権力を全体または人民の名において独占するものをいう。歴史的にはナチス・ドイツ、ファッシスト・イタリアなどのファッシズム政治体制があげられるが、スターリン主義や毛沢東主義を含むこともある。一党独裁、議会制民主主義の否定、表現の自由弾圧、恐怖による警察政治などの共通点がある。」(「ブリタニカ国際大百科事典」参照)とされる。旧ソ連、中国、北朝鮮は、いずれも共産主義のイデオロギーであるマルクス・レーニン主義(「科学的社会主義」)を指導理念(北朝鮮の場合はマルクス・レーニン主義を北朝鮮に適用した「主体思想」)とし、プロレタリアート独裁に基づく、名実ともに共産党一党独裁体制の国家であることに異論はないであろう。これらの国では、政府に反対する政党の存在は認められず、個人が政府を批判する自由はなく、批判すれば「反党反革命分子」として逮捕される。したがって、これらの国は前記ブリタニカの定義によれば、「全体主義国家」であると言えよう。
日本共産党の指導理念はマルクス・レーニン主義(「科学的社会主義」)である。党規約2条で「党は科学的社会主義を理論的基礎とする。」と明記している。そして、改定党綱領の五で「社会主義をめざす権力をつくり、生産手段を社会化して、社会主義・共産主義社会へ進む」としている。即ち、日本共産党は「社会主義革命」を目指す政党である。「社会主義をめざす権力」とはプロレタリアート独裁のことであり、日本共産党は党綱領でプロレタリアート独裁を容認しているのである。プロレタリアート独裁とは、レーニンによれば、「共産主義革命を実現するため、共産主義革命に反対する抑圧者、搾取者、資本家の反抗を暴力で抑圧する労働者階級の権力であり、暴力のあるところに自由も民主主義もない。」(レーニン著「国家と革命」レーニン全集25巻499頁参照)とされ、その実態は共産党の一党独裁である。(つづく)
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