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2021-08-07 00:00
(連載2)誰もが知っていて無視している新型コロナ対策、憲法改正
篠田 英朗
東京外国語大学大学院教授
しかし野党第一党の立憲民主党は、「政府の新型コロナ対策は手ぬるいので、自民党には憲法改正の資格はない!」といった、いつもの固定ファンに訴えるだけの意味不明の立場を変えようとはしない。これに対して自民党の菅首相も、20世紀の55年体制の構図のままだ。「まず新型コロナを解決します、そして憲法改正の必要がなくなったら、憲法改正に『挑戦』します」、といったことだけを述べている。現実の問題に対応するために憲法改正をする気概はなく、ただ憲法改正に関心を持つ投票者層をつなぎとめておきたいだけだ。
日本の新型コロナの被害は、国際的に見れば小さい。分科会の尾身茂会長とキーパーソンである押谷仁教授が道筋をつけた方向性にそって、国民が平均値の高い努力を行ってきたからだ。しかし、負担の偏りを無視して、現場の努力に依存するだけでは、長期的な試練には耐えられないことは当然である。前線の努力で時間稼ぎをしながら、制度的な改善をしておかなければならなかった。一年前からわかっていたことである。
他国の人々のおかげでワクチンが開発され、大量生産が始まった。地方自治体レベルの現場の頑張りで、当初の予想よりも早いペースで接種も進められている。相変わらずの「日本モデル」のパターンとはいえ、不幸中の幸いではある。しかし、これを政治の怠慢をさらに先送りにする要因にしてはいけいない。
正直、超高齢化した日本社会の現在の政治状況では、予測としては、現実逃避の先送りが続く可能性が高い。社会の改善に、新型コロナ危機だけでは足りなかった、ということだ。さらなる危機の増幅によってしか、改善の機運は生まれないのかもしれない。しかし改善より前に、危機によって日本が崩壊していかないという保証はどこにもない。(おわり)
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