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2021-08-21 00:00
(連載1)中国の自己認識像と世界の評価のギャップ
松川 るい
参議院議員
私が目下一番懸念しているのは、中国の中国自身に対する自己認識と、世界の中国に対する評価との間にギャップがあり過ぎることである。その認識ギャップが偶発的なものも含め衝突を招かないか心配になっている。そのような事態を防ぐために、抑止戦略に加え、どこかのタイミングで対中外交を展開する必要があるだろう。
7月1日の中国共産党創立100周年の習近平氏の1時間強に及ぶ演説を私はビデオで見た。主要紙の要約は日本の関心事項の視点からの記述であり、中国自身がどう考えているかを正確に理解するためには全部見る必要があると思ったのだ(それでも、7月2日の日経新聞15面の要約はかなり全体像に近い)。
演説は1840年のアヘン戦争の屈辱から日中戦争を乗り越え、中国共産党が中国を発展に導いてきたことが縷々述べられている。何度も何度も繰り返されるのは、「中華民族の偉大な復興」というキーワードであり、「中国を救えるのは中国の特色ある社会主義だけ」、「未来を切り開くには中国共産党の強固な指導の堅持が必要」、「中国共産党の指導は、中国の特色ある社会主義の最も本質的な特徴」など、様々な表現で、「中国の特色のある社会主義」の優位性と中国共産党の絶対性が強調されている。また、中国共産党政権と中国国民とを区別し、中国国民に訴える手法についても批判している。例えば、以下のように。
「中国共産党と国民を分割して対立させようとするいかある企ても絶対に思いのままにならない。9500万人以上の中国共産党員も14億を超える中国人民も許さない」「中国共産党は、平和、開発、公正、正義、民主、自由という全人類共通の価値観を守る。協力を堅持し、対立をやめ、解放を守る。封鎖をやめ、互恵を守り、ゼロサムゲームを止め、覇権主義と強権主義に反対する。」「今日、私達は歴史上のどの時代よりも中華民族の偉大な復興という目標に近づいている」「台湾問題を解決し、祖国の完全な統一を実現することは、中国共産党の変わらぬ歴史的任務であり、中華の人々の共通の願いだ。・・・いかなる「台湾独立」のたくらみも断固として粉砕し、・・・いかなる人も中国人民が国家主権と領土を完全にまもるという強い決心、意思、強大な能力を見くびってはならない。」「100年前、中華民族が世界の前に示したのは一種の落ちぶれた姿だった。今日、中華民族は世界に向けて活気に満ちた姿を見せ、偉大な復興に向けて阻むことのできない歩みを進めている。」「中国共産党は、中華民族の不滅の偉業を志、100年はまさに文才も風采も盛りだ。中国共産党の強い指導があれば、社会主義現代化強国を全面的に建設する目標は必ず実現でき、中華民族の偉大な復興という中国の夢は必ず実現できる。」(つづく)
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