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2021-09-03 00:00
国家の自己認識と対中外交
松川 るい
参議院議員
中国は、日本にとって地理的に近接する巨大な隣国であり、安定的な関係の維持は極めて重要である。深く広範な経済関係と長い交流の歴史があることはもちろんだが、およそ近隣国との関係が不安定なことはどんな国にとっても不利益である。外交安全保障上の負担になるからだ。ましてや日中関係においては日中戦争の過去もあり、こじれた場合の負担はとても大きく長引くものとなるだろう。我が国領土である尖閣諸島は言うまでもなく台湾海峡の平和と安定も我が国の安全保障上重要であり、我が国周辺海域において「有事」が起きないように(起こさせないように)する必要がある。
国家の自己認識というのは一時代遅れてくるものだ。たとえば、客観的に考えれば、日本の国力のピークは1990年代だったのだろうが、その時に書店に並んでいたベストセラーは「小さくてもキラリと光る国日本」だった。日本は自国を小国だと思っていた。
そして、今は国力のピークを越えて下り坂にあるのに、「日本凄い」系の本や番組のオンパレードだ。もっとも、最近は、デジタル化の遅れや技術競争力の低下など、コロナの中で益々日本の脆弱な部分が見えてきたこともあり、危機感をもって再興しなければならないという意識も強くなっているが。中国の自己像は複雑だ。自己について過大な自信を持っているのに、被害者意識も持っている。
日本にとり、中国とどのように向き合っていくかが今世紀最大の外交安全保障上の課題である。難しい局面で良い外交を展開するには力の背景は重要である(「力」だけでもダメだが)。特に中国に対しては。まず、有事が起きないように、そして経済安保的観点からの問題が生じないように、政治的な意味においても「抑止力」を高め、防御の体制(プランB)を作った上で、適当なタイミングで、認識ギャップを埋めるべく中国と対話をしていく必要があると思う。というか、認識ギャップを埋めることは多分無理なのだが、認識ギャップが存在することを認識し、そこから生じうるリスクを回避することだけでも意味がある。
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