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2021-09-14 00:00
(連載2)自民総裁選、立憲民主は成長戦略・安全保障を語れ
加藤 成一
外交評論家(元弁護士)
のみならず、洋の東西を問わず、歴史上も「社共共闘」は永続しない。1981年フランスのミッテラン大統領時代の「社共連合政権」ではその後共産党が離脱し、1960~70年代の日本の「社共共闘」も結局決裂した。その根本的理由は、議会制民主主義と矛盾する共産党の共産主義イデオロギーである「マルクス・レーニン主義」(「暴力革命とプロレタリアート独裁」)に起因すると筆者は考える。共産党の志位和夫委員長は、9月8日党本部で開いた中央委員会総会で、党内で1950年代以降に使われた「革命が平和的か暴力的かは敵に出方による」との「敵の出方論」なる表現を使用しない方針を表明した(9月8日付け「毎日新聞」参照)。しかし、共産党として、当該「表現」を使用しないだけなのか、「中身」も否定するのか明確ではない。また、共産党として、なぜこれまで長年使用して来たのか、なぜ今頃になって突然使用をやめるのか説明責任が求められよう。
もともと、「敵の出方論」は「平和革命と暴力革命はそのどちらも放棄しない。敵の出方次第で使い分けるという宮本顕治元委員長が編み出したロジックである。」(佐藤優ほか著「真説日本左翼史」2021年講談社現代新書217頁参照)とされている。宮本氏は「革命が平和的か非平和的かは結局敵の出方によるというのはマルクス・レーニン主義の革命論の重要原則である。」(宮本顕治著「日本革命の展望」1966年日本共産党中央委員会出版部315頁参照)と明言し、共産党の理論的指導者である不破哲三前委員長も「敵の出方論」の正当性を明言している(不破哲三著「人民的議会主義」1970年新日本出版社244頁参照)。共産党は現在も党規約2条でマルクス・レーニン主義(「科学的社会主義」)を党の理論的基礎としているから、宮本氏によれば、マルクス・レーニン主義を放棄しない以上は「敵の出方論」も放棄できないと言えよう。
立憲民主党などの野党は、総裁選出馬表明した前記三氏のうち河野氏にターゲットを絞り、総裁選出馬はワクチン担当大臣としての責任を放棄するものなどと激しく攻撃している。これは、総選挙を見据え、野党にとっては、自民党員や党友の間で支持され、且つ、無党派層を含む国民的人気が高い「河野太郎首相」の誕生を最も恐れ、何としてもこれを阻止するためである。しかし、河野氏はワクチン担当大臣として、本年2月以降、菅首相が提唱した一日100万回を大幅に超えるワクチン接種を実行し、今や米国と肩を並べる接種率を実現した実績があるから、批判は当たらない。
立憲民主党は、もっぱら菅内閣への「批判」や「敵失」だけで政権交代を狙うのではなく、また、イデオロギーや基本政策が根本的に異なる共産党との選挙協力によって政権交代を狙うのではなく、政権を担当した経験を活かし、地力をつけて、コロナ後をも見据えた自民党に対抗できる強力な経済成長戦略や国を守る確固たる安全保障戦略を国民に語るべきである。これらが欠落した前記の「共通政策」のような後ろ向きの政策ばかりでは到底政権交代はできないであろう。よって、立憲民主党は、速やかに党内に政権交代に備えた強力な「政策集団」と「影の内閣」を立ち上げ、国民のために、自民党と政策で勝負し切磋琢磨すべきである。自民党総裁選を契機として猛省と奮起を促したい。(おわり)
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