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2021-09-22 00:00
(連載1)「『敵の出方論』の不使用」の理論的検討
加藤 成一
外交評論家(元弁護士)
総選挙を間近に控え、立憲民主党との選挙協力を進める日本共産党の志位和夫委員長は、9月8日の中央委員会総会で、党の革命戦略である「敵の出方論」なる表現の不使用を表明した。これを契機に、共産党の革命戦略が「平和革命か、暴力革命か」が改めて問われている。そもそも、「革命が平和的か暴力的かは敵の出方による」との「敵の出方論」は、日本共産党が、1950年の朝鮮戦争を契機とした数年間の火炎瓶闘争・中核自衛隊・山村工作隊などの極左冒険主義(「武装闘争方針」)を経て、1958年の第7回党大会中央委員会報告で確定した共産党の革命戦略である。
当時の共産党宮本顕治書記長は、自著「日本革命の展望」で「革命が平和的か非平和的かは結局敵の出方によるというのはマルクス・レーニン主義の革命論の重要原則である。」(1966年日本共産党中央委員会出版部315頁参照)と述べ、「敵の出方論」を革命戦略として重視した。この革命戦略は、その後の不破哲三前委員長時代にも引き継がれた。
不破氏も、自著「人民的議会主義」で、「わが党が、革命への移行が最後的には敵の出方にかかるという立場をとっているのは、党と革命勢力が国会の多数を基礎に人民の政府をつくっても、反動勢力が不法な暴力を行使すれば非平和的な局面が生じうるからである。」(1970年新日本出版社244頁参照)と述べ、「敵の出方論」を重視している。このように、「敵の出方論」は、社会主義革命における非平和的手段を否定しない点において、理論上、「暴力革命」の一形態と言えよう。
そのうえ、もともと、日本共産党は「マルクス・レーニン主義」(「科学的社会主義」)を党の理論的基礎としている(党規約2条参照)。「マルクス・レーニン主義」の核心は、レーニンによれば、暴力革命とプロレタリアート独裁である(レーニン著「国家と革命」レーニン全集25巻432頁、445頁参照)。そして、プロレタリアート独裁とは、レーニンによれば、「共産主義革命に反対する抑圧者、搾取者、資本家の反抗を暴力で抑圧する労働者階級の権力である。暴力のあるところに自由も民主主義もない。」(レーニン著「前掲書」499頁参照)と規定し、「暴力革命」を重視しており、その実態は共産党の一党独裁である。現在の日本共産党の理論的指導者である不破哲三同党社会科学研究所所長も、「社会主義日本では労働者階級の権力、すなわちプロレタリアート独裁が樹立されなければならない。」(不破哲三著「人民的議会主義」241頁参照)と述べ、プロレタリアート独裁を容認している。(つづく)
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