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2021-09-29 00:00
(連載1)日本の長期低迷:その原因と対策
山崎 正晴
危機管理コンサルタント
9月3日の菅義偉首相の総裁選不出馬宣言以来、株式市場では「買い」が殺到、同日の日経平均株価は500円以上値上がりし、一時は2万9000円台を回復した。市場は明らかに菅首相の退陣を歓迎し、新しいリーダーの登場を待ち望んでいる。総裁候補者たちはさまざまな政策を公約に掲げているが、誰が首相になっても、新型コロナウイルス対策と景気の回復が最優先課題であることに異論はないだろう。
日本経済の落ち込みは深刻だ。新型コロナの感染拡大が影響した2020年の経済成長率は4・8%のマイナス成長で、09年のリーマン・ショック後のマイナス5・7%に次ぐ戦後2番目の落ち込みとなった。20年と09年とを比べると、マイナス成長項目に大きな違いが見られる。09年はGDP(国内総生産)のマイナス額の70%が「輸出の落ち込み」で、「消費の落ち込み」は9%だった。ところが、20年では「輸出の落ち込み」はマイナス額の44%だったが、「消費の落ち込み」がマイナス額の67%をも占めている(筆者注=合計が100%を超えるのは、輸入の増加がマイナスの一部を埋めているため)。20年のマイナス成長は、終わりの見えないコロナ禍に加え、19年10月からの消費増税のダブルパンチで、先行きに不安を抱えた国民が消費を抑えたことが大きな原因だった。
では、今後の成長見通しはどうか。経済協力開発機構(OECD)が今年の6月に発表した21年の成長見通しによれば、世界全体で5・8%、国・地域別では米国6・9%、ユーロ圏4・3%、英国7・2%、中国8・5%のプラス成長に対し、日本の成長見通しは、わずか2・6%だ。情けないことに、日本経済は過去10年間ほとんど成長していない。日本の1人当たりGDPの世界順位は、95年の3位をピークに、97年4位、19年19位と下降線をたどり、20年には23位と、これまで弟分だと思っていた国々から逆に心配される立場にまで落ちぶれた。
日本の経済はなぜ成長しないのだろう。日本の社会のどこが病気なのだろう。経済学者はほとんど触れないが、日本の病状を探る上で、無視してはならない国際統計が2つある。その一つは「世界の政治腐敗抑制度ランキング」だ。これは世界銀行の「世界ガバナンス指標(WGI)」の中の「腐敗抑止(Control of Corruption)」の項目で、公権力の腐敗抑止状況を国別に比較したものだ。ここでの腐敗には、贈収賄だけでなく、高級官僚や政治家による国家利権の収奪なども含まれる。(つづく)
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