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2021-10-07 00:00
米研究者のみる日本の対中状況
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
日本現代史を勉強している米研究者と懇談した。同人は、発言の内容を次のとおり紹介したい。お前は最近対米批判が多いと聞く、これはちょうど戦前昭和の初め頃の状況に似ている。経済が思わしくなく、社会状況も停滞し、不満のもって行きどころを探し、対英、対米批判となっていったのに似ている。中国は最近満州事変のきっかけとなった日本軍がやらかした柳条湖事件事件をイベントとして挙行した。中国は、以前の盧溝橋事件の勃発から繰り上げて、満州事変の始まりのこの事件から対日戦争が行われたとしきりに強調している。第一次大戦が終わり、その儲けのほとぼりが冷め、経済も世界不況のとばっちりで動かなくなりだしたころ、日本の海軍は、どうも日本は英国にうまいこと利用され、彼らは裏で中国、アジアでの反日の動きを助けているのではないか、それに騙されるな、という報告書をまとめている。その後成立の近衛内閣では、ソ連との中立条約締結を決めているし、欧米でのドイツの侵略政策にあまり強く出ない英国などの西欧諸国の態度を見て、英米憎しが始まったのを思い起こさせる。(笑い)その頃、元気のよい日本軍人は、米国社会は女性の力が強いから、本格的な戦争になると、泣いて夫たちが戦争に行かないように引き留めるなどと、いまから思うと冗談みたいな話を本気で述べていたのだ。
西欧の勤勉な日本の駐在武官たちのドイツの動きの危なさ、その方向の不可解性などの情報は、東京の本部で握りつぶされてしまった。勿論歴史はやってみなければ結果はわからないが、良識ある人たちが、日本の資源の状況から英米に対抗した場合の危うさを認識していたのにだ。いつの時代でも、声の大きいほうが日本社会ではのさばってしまうのだ。インフラの乏しさは精神力でカバーすると言った非合理性が勝ちを占めてしまう。お前は、ドイツのメルケル首相にも批判的だ。同国の選挙が終わり、メルケルの党より、よりリベラルな社会民主党が連立政権の軸になりそうだ。ちょうど、日本でも右の安倍路線からリベラルな岸田路線へ転換したのに似てもいる。ドイツ経済も、原材料のひっ迫から経済が緊迫化しだしていることも似ている。
台湾海峡問題につき、日本の報道は緊迫していると煽る部分が目立つ。自分が以前から述べているように、中国の台湾統一、そのためには武力の行使も行うとの姿勢はあるにしても、様々な要素から、台湾進攻が差し迫ったものだとは思えないのだ。軍事費増強のための理由つけだとしか思えないのだ。お前のよく知るように、習近平は、文革中の地方での苦労ののち、おやじの復権で、32歳で台湾の対岸の福建省、その一番の天国の都市アモイの副市長になって、中国の改革開放時期を同福建省で過ごした。台湾からの人たちにもよく会ってもいる。ちなみに日本人も、福建省は仏教の聖地でもあるし、宋学儒教の元締め、朱子のいた場所として訪問客が多かった。彼らにも会って意見を交わしている。習近平は、当時の鄧小平政治、江沢民政権時期以後の愛国主義教育運動に力を入れだした中国における流れをより強固にしていると言える。
お前は、米の知識人は中国の近代化を助け、自分たちの思う方向へ行くことを願うが、それが望むように行かないとすぐに幻滅して、中国叩きに走るなどと宣うが、その言葉は日本へお返ししたい。専門誌『外交』の最新号で日本の学者が冷戦終結の時期に開かれたフランスでのG7サミットで、日本は天安門事件を非難し、対中締め付けを続行を主張する欧州諸国に強く反対し、「中国の孤立化を避け、可能な限り早期に協力関係へ復帰」を期待し、対中融和に強硬に動き、人の好いブッシュ米大統領も最終的に賛成し、日本の望む融和路線へと動いたと書いている。これから欧米の対中国対応は厳しくなる一方だろう。日本はのほほんとしておられない。中国は来年秋の共産党党大会開催を無事開くため、北京オリンピックな開催など仕掛けの進行を願うが、欧米はそれらも人権、ウイグル、香港問題対処のための武器にするだろう。日本はトヨタ、パナソニック、ブリジストンなどが冬季五輪のスポンサーだ。
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