いよいよ10月31日の投開票日に向け選挙戦がスタートした。岸田政権は自公で過半数の議席獲得を目指し、立憲民主党は9月30日、日本共産党と限定的とはいえ「閣外協力」の合意をし、選挙協力を進め、政権交代を目指している。共産党にとって、「閣外協力」は、「民主連合政府」の実現を目指す統一戦線戦略である。詳細は、10月4日付「百家争鳴」掲載の拙稿「「閣外協力」は社会主義政権への第一歩」を参照されたい。
自民党の甘利幹事長は、立憲・共産の「閣外協力」を問題視し、10月14日の解散直後のNHKテレビインタビューや、10月17日のNHKテレビ「日曜討論」で、「今回の総選挙は、自由民主主義の自公政権を選ぶか、共産主義が入った閣外協力の立憲共産政権を選ぶかの体制選択選挙である。」旨主張し、立憲民主党と共産党の「閣外協力」を厳しく批判した。
これに対して、立憲民主党の福山幹事長は、上記「日曜討論」において、「閣外協力」は市民連合を介した安保法廃止・立憲主義回復などの「野党政策合意」の実現に限定したものであると反論し、共産党の小池書記局長も、安保廃棄や自衛隊違憲などの基本政策は政権に持ち込まず、限定的に「野党政策合意」の実現を図るものであると反論した。しかし、前述の拙稿で指摘したとおり、共産党にとっての「閣外協力」は、過渡期の政権である「民主連合政府」さらに「社会主義政権」の実現を目指す共産党の統一戦線戦略であることは明らかである。
立憲民主党の有力支持母体である連合の芳野友子新会長は、10月7日記者会見で、神津前会長の見解を踏襲して「共産党の閣外協力はありえない。連合推薦候補にも共産党が両党合意を盾に共産党の政策をねじ込もうとする動きがある」と述べ、「閣外協力」に反対(10月7日付時事通信)した。選挙における個々の候補者の立場は弱く、選挙戦で支援を受けた共産党の方針や政策に厳しく接することは難しい。(つづく)