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2021-12-08 00:00
(連載2)日本の水際対策は機能している
篠田 英朗
東京外国語大学大学院教授
入国規制は、一時的な措置にすぎない。体制を整えるための時間稼ぎである。時間稼ぎをしている間に、オミクロン株も視野に入れた検疫体制を整えることが、政策的目標である。日本への入国者数を段階的に増加させた10月・11月において、日本での新規陽性者数の増加は見られなかった。搭乗前、到着時、そしてその後も強制待機期間中はもちろん自宅待機の場合でも追加的なPCR検査を繰り返し行っていく仕組みは、潜在的な陽性者をあぶりだす厳しい仕組みである。ワクチン接種者にも長期の待機と繰り返しのPCR検査を求める仕組みは、他国と比しても厳格だ。
かつて「全国民に繰り返しPCR検査を」と主張していた方々が、鎖国派になっているのは、辻褄があわない。なぜなら今の仕組みで日本人全員が空港検疫を通過するなら、日本人全員が複数回のPCR検査を受けることになるからだ。「煽り系の専門家」と結託した反政府系のメディアや言論人が、「人と人との接触を8割削減せよ」、「十分な補償をしてロックダウンせよ」、「数十兆円を投入して全国民PCR検査を繰り返し実施せよ」、「国産ワクチンを早期に開発して迅速に全国民に接種せよ」、と主張したうえで、「オリンピックを中止して外国人の入国を禁止せよ」、と叫んでいた。そして空港で陽性者が見つかったというニュースが出るたびに、「日本の新型コロナ対策は破綻している」、と叫んだ。
しかし結局、オリンピックではクラスターは生まれなかった。その後も外国人や帰国者が起点になったクラスターが生まれたという事件も確認されていない。むしろ陽性者を的確に識別していたのである。日本の検疫システムは、地味ながらも機能している。
未知のオミクロン株に対して早めの予防措置をとることには妥当性があるとして、それが鎖国こそが正義であるといった破綻した議論につながらないことを祈る。必要なのは、永遠の外国人撲滅や渡航者狩りの夢想ではなく、優れた検疫体制の確立であり、維持であり、拡大である。(おわり)
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