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2021-12-22 00:00
ウクライナ情勢、NATO加盟問題の決着がカギ
飯島 一孝
ジャーナリスト
12月7日のプーチン露大統領とバイデン米大統領とのオンライン会談は、平行線のまま終わったが、ウクライナ問題の協議を継続することになり、当面の危機は回避された。だが、プーチン大統領はウクライナのNATO(北大西洋条約機構)加盟問題に決着をつけるまで、ウクライナへの軍事攻勢を止める考えはないと見られ、緊張状態は年を越しそうだ。
今回の問題は、ロシアが2014年にクリミア半島を強制編入して以来、ウクライナとの間で続いている軍事紛争の延長線上にある。ウクライナ東部でのロシアとウクライナの紛争では、すでに1万3000人以上が犠牲になっている。ウクライナでは、2019年に紛争解決を求めて立候補したゼレンスキー氏が大統領に就任したため、紛争が解決に向かうかと見られていた。だが、ウクライナからの移民が多い米国で、ウクライナを支援する世論が高まり、これを受けてゼレンスキー大統領もクリミア半島をロシアから奪回、NATOに加盟する方針に転換したと見られる。特に、民主党のバイデン氏が米大統領に就任して以来、ウクライナ支援が本格化し、ウクライナをNATOに加盟させる動きが本格化してきた。
一方、プーチン大統領も今夏、「ロシア人とウクライナ人は同一民族」と主張する論文を発表、隣国のベラルーシを含めたスラブ系民族による「勢力圏」から、欧米の影響力排除を目指す考え方を示している。このため、ウクライナのNATO加盟だけでなく、NATOの攻撃的兵器の配備も「レッドライン」(超えてはならない一線)と主張している。
米露双方ともウクライナ問題では、一歩も譲れない状況にあり、7日のオンライン会談でも。今後「実質的な協議」に入ることが合意されただけで、進展はなかった。米国側は、強力な経済制裁を加えてロシアを追い込む考えと見られるが、プーチン大統領も2024年の大統領任期満了を前に、安易な譲歩は許されない。今後とも、筋書きのない「和戦両用」の戦いが繰り広げられるのは必至だ。
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